【ムンバイ】米国のエネルギー・メジャー、Enronがプロモーターを務めるDabhol Power Company (DPC)が4月25日に催した取締役会の席上、エンロン・インディアのK Wade Cline重役(MD)と、DPCのNeil McGregor社長は、「マハラシュトラ州政府にも中央政府にもマハラシュトラ州電力局(MSEB)がDPCと交わした電力購買契約(PPA)に対する支払い保証義務を履行する誠意がなく、問題解決に対する意欲も示さないことから、総コスト30億米ドル、2184MW(メガワット)のダブホール発電事業第2期プロジェクトを完成することに関心を喪失した」と語った。
エコノミック・タイムズ、デカン・ヘラルド、ヒンドゥー・ビジネス・ラインが4月29/30日報じたところによると、Cline/McGregor両氏は席上また、プロジェクトに関心を失った理由の1つとして、地元金融機関が第2期プロジェクトに対して約束した借款の提供をストップ、外国金融機関も地元金融機関が借款供与を再開しない限り、一層の融資には応じない姿勢をとっていることを明らかにした。
これに対してMSEBのVinay Bansal会長は「仮にDPCが株主総会により採択された通り30億発電プロジェクトから撤退するなら、MSEBもPPA第17.3b(1)の条文に基づき契約を破棄することができる」と応酬した。取締役会に出席したDPC幹部がPTI通信に語ったところによると、Bansal会長やインドの地場金融機関の代表らは、エンロン/GE/Bechtelの代表に対して、極端な措置(プロジェクトからの撤退/PPA破棄)をとるよりも、PPAの内容の再交渉に応じるよう説得に努めた。
他方、マハラシュトラ州政府は、マダブ・ゴドボレ電力事業再検討委員会(Madhav Godbole energy review committee)のゴドボレ氏をPPA再交渉チームの団長に指名し、PPA破棄も辞さない姿勢を表明したエンロンとの交渉に当たらせる方針を決めた。再交渉チームには、MSEBのBansal会長、National Thermal Power Corporationの代表らも含まれる
消息筋によると、仮にエンロンがプロジェクトを破棄した場合、地元金融機関とインド政府は、これまでにプロジェクトに貸し付けた金額にとどまらず、別途多額な負担を負うことになる。これはインド政府が外国金融機関に提供した2500クロー(US$5.35億)の保証に追加されるもので、その総額は外国借款の総額を下回らない見通しだ。プロジェクトの22億米ドル弱の借款総額中約70%は既に支払われており、内40%が外国借款で占められている。
また仮にエンロンが契約を破棄した場合、エンロンは約3万クロー(US$64.24億)のペナルティーを科される。エンロンが同ペナルティーを支払うか否かに関わらず、外国金融機関はインド中央政府とマハラシュトラ州政府ばかりでなく、インドの地元金融機関からも貸付を回収でき、このことが地元金融機関がプロジェクトの廃棄に反対する主要な理由になっていると言う。