【ニューデリー】多国籍製薬会社がエイズ薬品の特許権を巡る南アフリカ政府に対する訴訟を取り下げたことから、インド政府が“1970年インド特許法(Indian Patents Act)”の第二次改正を見送る可能性が出てきた。
ヒンドゥー・ビジネス・ラインが4月25日報じたところによると、国際製薬会社は、南アフリカ政府が世界貿易機関(WTO)のTRIPS協定(知的財産権の貿易関連の側面に関する協定:the Agreement on Trade Related Aspects of Intellectual Property Rights)に基づいて薬品を輸入することを保証していないにも関わらず、訴訟を取り下げた。
科学技術生態学研究基金(Research Foundation for Science, Technology and Ecology)理事のDr Vandana Shiva女史は24日記者会見し、「もしインド国会がTRIPS協定に基づく知的所有権(IPR:Intellectual Property Rights)の登記を採択するなら、南アフリカ政府の勝利は、低価格のジェネリック薬品の製造を手掛けてきたインド製薬会社の敗北を意味することになる」と指摘した。同女史によれば、インドの既存特許法は製法のみを保護しているが、TRIPS協定に倣って製品そのものを保護する特許法に改めるなら、インドの地場製薬会社がジェネリック薬品を製造するオプションを自ら閉ざすことになる。地元製薬会社はインド国内市場でその種のビジネスが禁止されるだけでなく、アフリカ等の海外市場にこの種の薬品を輸出することもできなくなると言う。
インド特許法の第一次改正では、外国製薬会社に独占販売権が認められたが、第二次改正では、製薬領域における従来の製法特許に替えて製品特許(product patents)が導入される予定だ。