2000-11-13 ArtNo.24358
◆MUL政府持分売却に対するスズキの拒否権は無効:法務省
【ニューデリー】スズキとインド政府の合弁契約の下、政府のMUL持分売却に対してスズキは拒否権を行使することができると言われてきたが、法務省が契約の内容を検討した結果、スズキにそのような権利はないことが判明したと言う。
エコノミック・タイムズが11月9日報じたところによれば、実際には、政府はMUL持分売却に際して、スズキに通知するだけでよく、同意を得る必要はない。これによりMUL持分を売却する政府のオプションは大幅に拡大、政府持分売却のシナリオも一変することから、同事実を確認した法務省筋も唖然としている。
MUL政府持分売却に関しては、政府内の意見も分かれており、ムラソリ・マラン商工相は戦略パートナーへのブロック・セールに反対、一般投資家に公開するよう求めている。政府持分を一般公開するなら、戦略パートナー、例えばスズキやジェネラル・モーターズに売却した場合の予想額3000~5000クローを大幅に上回る売却収入を政府は期待でき、加えて多国籍企業に政府権益を売却した際に予想される、民族主義者らの批判も回避できる。このため金融機関を含む一般投資家への株式公開は政府にとって一石二鳥の、政治的にも最も安全なオプションと見なされている。またスズキもMULの経営権を確保できる。
いずれにしても最終的な政府の方針は、政府持分売却に慎重なManohar Joshi重工業相の判断や、スワデシ(経済民族主義)グループの圧力、民営化政策加速に対する認識の高まりと言った諸要素を勘案した上で下されるものと見られる。
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