SEAnews 1995-07-12 ArtNo.2332

【シンガポール】シンガポールが明年先進国に仲間入りした後直面する新たな挑戦に対処するため、政府は1）富の創造、2）人材／労働資源の開発、3）ビジネス環境の改善、4）工業政策の立案、5）科学技術の基盤強化、6）リージョナル化、の6点を今後の経済運営の重点課題とする方針だ。
リー・シエンロン副首相が10日、シャングリラ・ホテルで催された経済フォーラムで語ったところによると、シンガポールの繁栄を維持する道は富の再分配ではなく、富の創造であり、また少数の利益を図るのではなく、国民全体の所得を高めることに有る。また工業再編の阻害要因は決して資金不足やインフラの未整備にあるのではなく、新技術を修得する国民の能力に掛かっている。このため政府は教育／訓練を強化し、能力の有る家庭には多産を奨励、有能な海外人材のシンガポールへの移住を歓迎する。ビジネス環境の整備に関しては、所得税及び法人税率を低く維持し、インフラの整備に努める。民間企業の能力を超えた労働資源の開発、インフラ投資、大型合弁事業のリスク軽減等の面で、政府がその役割を有効に演じるための工業政策を立案する。シンガポールはまた域内のクリエイティブ・センターとして、独自の科学技術を創造し、域内における事業に役立てねばならない。シンガポール経済のリージョナライゼーションに関しては、政府は2つの側面からこれを促進する。その1つは海外における工業パークの開発で、その2はこうした工業パークにおける多国籍企業との合弁事業を推進することと言う。(ST,BT,LZ:7/11)