【ニューデリー】国内生産のほぼ50%に相当する年間75万トンのクロム鉱を生産しているTata Iron and Steel Company (Tisco)は、クロム鉱の生産量を100万トンに拡大するとともに、クロム鉄(HCFC:high carbon ferro chrome)の生産を2000-01年度には20万トンに、長期的には30万トンに拡大する計画だ。
インディアン・エクスプレスは19日以上の消息を伝えるとともに、HCFC市場の競争過熱は避けられないとコメントしている。
Tiscoは国内最大のクロム鉱/HCFCの製造業者で、独自に5万トンのクロム鉄を製造するとともに、内外のクロム鉄製造業者とクロム鉱のクロム鉄への転換契約を結んでおり、1999-2000年度のHCFC生産は12万トンを超えたものと見られる。
かつてアジアのSamancor(南アのマンガン/クロム/鉄鋼生産者)を目指したTiscoは国際価格の暴落で打撃を受けた苦い経験を有するが、同社経営陣はクロム鉱/クロム鉄を改めて輸出志向の成長領域と位置づけ、新経営戦略を立案したようだ。既に同領域における豊富な経験を有するTiscoは戦略上の誤りを回避することができるものと見られる。
多くの国内鉱炉業者がTiscoからクロム鉱の供給を受けクロム鉄に転換する契約の獲得を目指すものと見られる。目下5社、合計9つの鉱炉でクロム鉄が製造されているが、今後さらに多くの企業がこの種の事業に参加する見通しだ。
Tiscoはまたそのクロム鉱を中国でクロム鉄に転換する可能性を検討している。中国の電力料金はインドに比べ遙かに低くいことから、中国で生産した製品を日本や他の市場に輸出する計画だ。Tiscoの高純度HCFCは日本等で好評を博していると言う。