2000-06-19 ArtNo.22822
◆政府、MUL支配権益/ギアボックス技術巡りスズキとバーゲン
【ニューデリー】インド乗用車市場をリードするMaruti Udyog Ltd (MUL)の対等出資パートナーを務めるインド政府とスズキは、政府持分の売却とギアボックス技術の移転を巡る交渉を続けている。
ヒンドゥー・ビジネス・ラインが16日消息筋の言として伝えたところによれば、重工業局(DHI)とスズキは過去数週間にわたり交渉を続けており、スズキはギアボックス技術の移転の可否について向こう数カ月以内に判断を下す見通しだ。DHIは、今年末に予定されるMULの政府持分売却に際して、スズキに支配権益を譲り渡すことを条件に、ギアボックス技術の移転をスズキに迫っているものと見られる。
関係技術の移転が今年度内になされるか否か、MULがギアボックスの製造を手掛けるのか、ギアボックス製造の別会社を設けるのかは、依然として不明だが、消息筋によれば譬え技術移転が決まっても、インド国内ではマニュアル・トランスミッションの製造のみが手掛けられ、オートマチック・トランスミッションは引き続き日本から輸入されることになりそうだ。
DHI筋はMUL権益とギアボックス問題を直接絡めることを控えているが、業界観測筋は、政府持分処分は、インド政府のスズキに対する交渉力を強めるものと見ている。
ギアボックス技術の移転問題はインド政府とスズキの間の長期にわたる懸案事項で、しばしば両者の紛争の火種になっていた。スズキはその種の技術移転はあり得ないとの姿勢を維持しており、スズキの鈴木修社長は昨年12月にインドを訪れた際も、「MULは自動車の製造に専心すべきで、ギヤボックスの製造は重要ではない」との考えを語っていた。
政府持分処分局(DOD:Department of Disinvestment)は先月、MULの政府持分を今会計年度内に50%から26%に引き下げるよう提案しており、仮にスズキが政府持分の引き受けを拒んだ際には、国際入札にかけられる見通しだ。政府持分の処分は2年後に完了、政府は2995クロー(US$6.7億)前後を手に入れることになりそうだ。
しかしながら政府持分の価格算定基準や実際の売却手続きは未定で、消息筋は取り分けどのレベルの価格で折り合うかは極めて難しい問題と評している。何故ならスズキに政府持分売却に対する拒否権が与えられているため、競争ベースの価格設定方式は採用できない。しかしながら政府はModern Foods India Ltdの政府持分売却をベンチマークとして用いる見通しで、政府持分処分問題閣僚委員会は今月23日に会合し、関係問題を協議すると言う。
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