2000-05-29 ArtNo.22598
◆SAIL、HR鋼板主要市場で反ダンピング税に直面
【ニューデリー】これまで様々な事業再編措置を通じて財政再建を図ってきた国内最大の政府系鉄鋼会社Steel Authority of India Ltd (SAIL)は、熱間圧延鋼板(hot-rolled steel plate)の主要輸出市場から閉め出され、新たな難局に直面している。
ヒンドゥー・ビジネス・ラインが27日、鉄鋼省筋の消息として伝えたところによれば、米国、カナダ、欧州市場における相次ぐダンピング容疑で、SAILはドル箱市場を喪失、今やHRプレートの輸出先を見い出すのが困難になっている。このためSAILの今会計年度の輸出実績は大幅な落ち込みを見る見通しで、赤字経営の汚名返上を至上命令とする同社はHRプレートの新市場開拓に躍起になっている。
SAIL製HRプレートは最大市場の米国で72.49%の反ダンピング税と11%の相殺関税を課され、取り分けCTL(cut-to-length)スチール・プレートの製造を手掛けるBhilai Steel Plantが深刻な打撃を受けている。SAILは当初、過度な反ダンピング税及び相殺関税を課したとして米国当局を世界貿易機構(WTO)に訴えることを検討したが、未だに実行に移していない。
米国/カナダで反ダンピング税を課せられたSAILは、欧州では辛うじて反ダンピング税の嫌疑を覆すことに成功したが、もともと好収益が見込めぬことから、SAILは自ら欧州輸出を縮小させている。米国/カナダに代わる新市場を物色するSAILは東南アジアに注目しているものの、具体的成果はまだ上がっていない。
業界筋によれば、新市場に橋頭堡を築いても、その開拓には時間を要することから、SAILは輸出用HRプレートを国内市場に振り向けている。幸いなことに国内需要は回復に転じ、HRコイルの輸出シェアも維持されていることから、HRプレートの輸出不振に伴う打撃は軽減される見通しと言う。
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