2000-05-25 ArtNo.22565
◆Tisco、政府系商社を介せぬクロム鉱の直接輸出陳情
【ニューデリー】国内最大の民間鉄鋼会社Tata Iron and Steel Company Ltd(Tisco)は、政府系Minerals and Metals Trading Corporation Ltd(MMTC)を通じずに直接クロム鉱を輸出することを認めるよう政府に働きかけている。
エコノミック・タイムズが24日報じたところによれば、Tiscoが生産したクロム鉱はMMTCを通じて主に日本と中国に輸出されているが、最近は持続的減少を見ている。Tiscoは政府に提出した陳情書の中で、大規模な海外ネットワークを有する同社は、クロム鉱を直接輸出することにより、利益率を拡大できるとしている。
既存の政策の下ではクロム鉱の毎年の生産目標が定められ、国内需要を上回る分のみが輸出されている。また輸出の上限が定められており、特に高品質なクロム鉱はMMTCを通じた輸出のみが認められている。このため既存の政策の下ではクロム鉱の直接輸出は不可能な仕組みになっている。
Tiscoは、「鉱物資源の輸出をMMTCを通じた間接輸出のみに制限するなら、輸出成長を阻害する。何故なら政府系のMMTCは煩瑣な行政手続きに妨げられ、輸出機会に敏感に対応できない」と主張している。
政府はTiscoの提案のメリットとデメリットを勘案した後、同社の求める全ての要求に対して一括して認可、もしくは不認可の裁定を下すものと見られるが、政府がTiscoの要求を認めるなら、MMTCは一層厳しい競争に直面、利鞘も縮小する見通しだ。
MMTCの年商は、MMTCを通じた輸出義務が緩和された1993/94年度に3217クロー(US$7.32億)を記録、前年の8100クロー(US$18.44億)から大幅に下降したが、その後も持続的な不安定に直面している。営業利益マージンは1995年の1%から1997年の0.02%に下降、1998年には0.3%に改善した。Tiscoの陳情が認められれば、MMTCの売上/利益が一層の落ち込みを見ることは避けられない。
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