【バンガロール】欧州/日本がインドの情報技術(IT)タレントに関心を寄せる中で、需給不均衡が顕在化するのではないかと懸念されている。
エコノミック・タイムズが21日伝えたところによれば、インドのITキャピタル、バンガロールが、インドのITプロフェッショナルのために欧州及び日本マーケットを開拓する役割を引き受けたことから、インドの技術者やIT産業に対する需要が高まる見通しだが、需給不均衡が顕在化すれば、国内産業の成長も影響を受ける。
ソフトウェア・サービス会社全国協会(NASSCOM:National Association of Software and Service Companies)の中間報告書によれば、2000/01年度のIT専門家需要は14万人にのぼるが、供給は7万3000~8万5000人にとどまる見通しで、供給逼迫が予想される。インドのIT専門家に対して門戸開放を宣言している国にはドイツ、スウェーデン、日本、トルコが含まれ、ドイツは2万人、日本は1万人を必要としている。
ウィプロのDilip Ranjekar副社長は、「もし十分なタレントが存在すれば、需要拡大に伴う潜在性を100%汲み取ることができるが、タレント不足が顕在化すれば、60%の潜在性を汲み取れるだけである。その他のインフラのネックも予想されるが、人材不足が成長の主要な障害になる」と予想した。
LG Soft IndiaのLalit Ahuja重役(MD)は「IT専門家を輸出できる状況にはない。様々な施策が講じられているものの、実際に輸出ができるようになるのは、2年先のこと」と指摘、Digital Equipment IndiaのPrashant Shankaran人事部長も「欧州/日本市場の開放は、米国のみに依存するリスクを軽減するが、同時に国内労働市場の逼迫を生じさせる」と懸念を表明した。
Nasscomの報告書によると、国内の高等学府からのIT人材の供給は、既存人材のプール、7万3000~8万5000人に匹敵するが、産業界はその10倍の数でも吸収できる。
Ranjekar氏によれば、人材の素質は、最良なものから、優良なもの、平凡なものまで様々で、問題は最良の人材の供給が限られていること。各社は訓練に少なからぬ時間を費やさねばならず、こうした時間は浪費とも、投資とも見なせる。
産業界はこれ以前には機械/電気エンジニアの訓練に力を入れてきたが、今やソフトウェア人材が需要の中心を成している。NASSCOMのレポートは、ビジネス・アプリケーション、アプリケーション・サービス・プロバイダー、ウェブ・ベースのアプリケーション、ソフトウェア・エンジニア、ネットワーク・アプリケーション、Eコマース方面の需要を指摘、ソフトウェア人材需要の68%はソフトウェア・デベロプメント/オペレーション、14%はマーケッティング、16%はサポートと分析している。
業界筋は、民間訓練校はIT人材を育成しているものの、産業界のニーズにマッチした人材が育成されるように成らない限り、供給逼迫は改善されないと指摘した。