【ニューデリー】生産者価格の点からすれば、インド・セメント産業にとって現在は決して最良の時期とは言えず、こうした見通しを裏付ける現象は、程度の差こそあれ、全国各地に見られる。例えば一時、成長地帯と目されたケララやタミールナド等の南部にしても、設備の拡張やサプライ・サイドの管理不良、あるいは政治問題等から現在の価格は、過去数年のそれを下回っている。
ヒンドゥー・ビジネス・ラインが11日伝えたところによれば、とは言え、最近の東部地区には興味深い価格動向も生じている。Tata Iron and Steel Company Ltd (Tisco)のセメント設備を買い取ったフランスのメジャーLafargeの市場参入で、東部地区市場にはダイナミックな変化が生じようとしている。Lafargeは積極的な市場シェア拡大策を採用しており、このことがセメント価格の下降を加速させている。
Ambuja Cement IndiaのModi Cement買収は、東部市場に波紋を生じさせたが、それは序幕に過ぎずLafargeの参入で価格戦争の火蓋が切られた。99/00年度年初7ヶ月のカルカッタにおける1袋(50キロ)当たりのセメント価格は150ルピー前後だったが、2000年1月には112ルピーに下降した。
サプライ・サイドのマネージメントの改善や企業買収に伴う統合化の結果、4月に入って価格は17.8%ほど改善したものの、LafargeやAmbuja Cement及び他のプレーヤーのシェア拡大競争の影響で、今後も全般に価格の軟化傾向が持続しそうだ。
北部地区の価格動向は、東部地区と対照的に1袋当たり120~135ルピーのレベルを浮遊している。同価格はほぼ過去5年来の平均価格に一致しており、改善する見通しはない。健全な需要の成長に関わらず、マドヤプラデシュ/ラジャスタン両州における急速な設備拡大の結果、供給サイドはより大幅な成長を見ており、このことが価格に圧力をかけている。こうした傾向は今後も変化しない見通しだ。東部と北部におけるこうした価格動向は、99/00年度の出荷量が前年を15%ほど上回ったにも関わらず、生産者の収益性に下方圧力を及ぼしている。