1999-12-21 ArtNo.21397
◆<馬>NTTとの提携報道でTMB株値上がり、取引価格に影響も
【クアラルンプル】Telekom Malaysia Bhd(TMB)の日本電信電話(NTT)との戦略提携交渉が1ヶ月以内にまとまるとの見通しから、TMB株が値上がりしている。
しかし、できるだけ好条件で売却を目指す政府投資会社Khazanah Nasional Bhdが、株の値上がりを待つ見通しのため、交渉の妥結は来年初以降になると予想する向きもある。別のアナリストは、第3四半期のTMBの業績は若干期待はずれだったことから、NTTは買収価格の引き下げを図ると指摘する。
一体、妥当な価格はどれほどなのか、海外事業の拡張をはかるNTTはプレミアムを払ってもTMB権益を買収するのか、と言った点が問題になるが、某アナリストはカザナが譬え高値で売却を試みても、NTTが1株16Mドル以上を払うことはないと予想する。
TMB株は12月6日の11.80Mドルから先週金曜の13.90Mドルに、過去2週間に17%の上昇を見た。
KAF Seagroatt & Campbell SecuritiesのLucy Ng重役(GM)によれば、株価収益率(PER)からすればTMB株は決して安くないが、クアラルンプル証取(KLSE)上場の電気通信銘柄の中では唯一黒字経営を維持しており、業績の改善も見込める。
TMBの15~20%の権益を買収しても、NTTはさしたる影響力を行使できないが、NTTはTMBのマルチメディア・スーパー・コリドー(MSC)ビジネスに関心を有するものと見られる。TMBはMSCの主要なテレコム・インフラ・プロバイダーだが、既にMSC事業に深く関与しているNTTは、TMB権益を握ることにより、より大きな役割を担うことができる。
またNTTは傘下のNTT Do Co Moを通じて、TMBのセル式電話ネットワークの強化を支援できる。TMBは目下3つのセル式電話網を経営しているが、一部の観測筋は技術的にこれら3つのネットワークを統合することは困難と指摘する。NTTはあるいはこの方面でもTMBを支援できるかも知れない。
アナリストらは、TMBが建設会社ユナイテッド・エンジニアーズ・マレーシア(UEM)と共同で、シンガポールの店頭市場セントラル・リミット・オーダー・ブック(CLOB)でかつて取り引きされ、目下マレーシア当局により凍結されているマレーシア株に対して買収を提案したことに象徴される同社と政府の癒着に懸念を抱いている。TMBは、財政難に直面する国内の他のテレコム会社の救済役を務め、技術的に統合が困難なネットワークの管理を引き受けることになるのではないかと懸念する者もある。。
カザナがその持ち分をNTTに売却すれば、こうした役割を演じる可能性は薄れるが、依然として皆無とは言えないと言う。(STAR:12/20)
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