1999-12-07 ArtNo.21244
◆<馬>政府間のイニシアチブがIT域内協力の前提:MSCチーフ
【クアラルンプル】マルチメディア・スーパー・コリドー(MSC)プロジェクトの調整役を務めるマルチメディア・デベロプメント・コープ(MDC)のTan Sri Dato' Dr Othman Yeop Abdullah会長は、情報技術通信(ITC)領域における域内協力の必要を強調、「孤島にハブは存在し得ず、MSCも例外ではない」と指摘する。
先週金曜シンガポールで催された東南アジア地域コンピューター連合(SEARCC)の会議に出席したオスマン氏が、地元記者に語ったところによれば、マレーシアとシンガポールが隣国として補完関係を形成するなら、大きなメリットが存在するが、その実現には、両国政府のイニシアチブが必要とされる。
最近同氏はジュネーブにおける国際会議の席上、マレーシア、英国、ニュージーランド、スイスの学校間のビデオ・コンファランスについて語ったが、シンガポール、タイ、インドネシアとの地域協力について反問され、回答に窮するばつの悪い体験をした。実際東南アジア諸国にはこの種の協力の基盤が存在しないと言う。
オスマン氏はクアラルンプル拠点のアジア太平洋開発センター(APDC)IT部会でも積極的役割を果たしている。同部会には、シンガポールIT産業のパイオニアRobert Iau氏やシンガポール国家コンピューター局(NCB)のMichael Yap前局長も参加しており、目下域内諸国の公共/民間両部門の代表から成るIT専門委員会の組織とアジア太平洋地域IT表彰制度の創設を目指している。
最近のマニラにおける非公式会議では、ASEAN情報インフラやe-ASEANイニシアチブと言ったテーマが取り上げられた、しかし誰もが自分がのけ者にされたと感じることがない状況の下に、こうした目標を達成するのはそう容易ではない。
シンガポールは、多国籍企業の誘致の面で長けているが、大量のスタートアップ企業を生み出す能力に関してはマレーシアが勝っている。MSCプロジェクトの1つ、テレメディシンに関して言えば、シンガポールは優れている。またマレーシアとシンガポールの病院が互に相手をバイパスして米国の病院とリンクするのは馬鹿げている。他方、両国で共通に使用可能なマルチ・パーパス・スマート・カードを開発できれば、そのメリットは測り知れない。こうした幅広い協力関係の樹立には政府間の関係改善が前提になる。
オスマン氏は、政府間で解決されるべき問題として、シンガポール国内におけるマラヤ鉄道所有地問題、シンガポールの店頭市場セントラル・リミット・オーダー・ブック(CLOB)で取り引きされ、マレーシア政府により凍結されたシンガポール投資家所有のマレーシア株の問題等を指摘した。(BT:12/6)
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