SEAnews 1999-12-03 ArtNo.21209

【シンガポール】金融管理局(MAS)会長を務めるリー・シエンロン副首相は1日、シンガポール証券取引所(SES)とシンガポール国際金融取引所(SIMEX)を結合したシンガポール取引所(SGX)の発足を宣言するとともに、地元証券業界に一大再編を強いるものと予想される一連の資本市場自由化措置を発表した。
リー氏によると、新たに発足したＳＧＸは取引所会員のクラブとしてではなく、株主全員に責任を負う企業として経営される。
☆先ず株式取引の決済期限が2000年3月15日より現在の5日(T+5)から3日(T+3)に短縮され、最終的にＴ＋1が目指される。これにより決済期限内の市況の変動に伴うリスクが軽減される。
☆証券取引手数料率の完全自由化が当初の目標（2003年1月)を3年繰り上げ、2001年1月1日より実行される。証券会社はこれにより独自の手数料率を設定して、同業他社と競争することができる。
☆2000年7月より取引所が新会員に開放され、会員数の上限が撤廃される。新会員には地元投資家を対象とした最低50万Ｓドルの取引が義務づけられるが、同額は2001年7月より15万Ｓドルに引き下げられ、2002年1月より完全に撤廃される。
☆証券取引所国際会員に義務づけられた地元投資家との最低取引額も2000年1月より500万Ｓドルから50万Ｓドルに引き下げられ、2001年1月には撤廃される。
☆2002年1月より全ての有資格のプレーヤーは自由にＳＧＸの取引に参加でき、如何なる制限も課されない。
☆証券会社が現金管理口座を設け、顧客の遊休資金を通貨市場で運用することが認められ、金融顧問サービスの提供も許される。
同措置は銀行に大きな脅威を及ぼすことになりそうだ。例えば株式仲買／固定金利商品の運用で知られる米国企業メリル・リンチは今やロンドン市場における通貨取引で多くの銀行を陵駕している。華聨銀行(OUB)のピーター・シア頭取は、「今後、取り分けインターネット時代の最大の競争者はノンバンク」と予想している。
☆2000年1月1日よりディーラーは調整後の純資本に対する累積負債額の比率が8倍を超えた際にのみＭＡＳに報告すればよくなるが、仮に同倍率が連続4週間10倍を超えれると、ライセンスを取り消される。
☆2000年1月1日よりディーラーの最低払込資本は3000万Ｓドルから1500万Ｓドルに引き下げられる。同時に調整後の最低純資本は現在の800万Ｓドルから500万Ｓドルに、警戒レベルは1000万Ｓドルから800万Ｓドルに、それぞれ下方修正される。