SEAnews 1999-11-30 ArtNo.21168

【クアラルンプル】マレーシアの与党連合国民戦線(BN)は昨日(11/29)投票が行われた国会下院と全国州議会(ｻﾊﾞ/ｻﾗﾜｸを除く)選挙で、国会193議席中141議席を獲得、目標とした3分の2議席を遙かに上回る圧倒的な勝利を収めた。しかし州議会選挙ではクランタン州政権を奪還できなかっただけでなく、新たにトレンガヌ州政権も野党イスラム党(PAS)に奪われた。
選挙の大勢が判明した今日未明記者会見したマハティール首相は、トレンガヌ州政権を野党に奪われたものの、今回のＢＮの勝利は、前回1995年の総選挙を遙かに上回り、マレーシア国民の自由、団結、成功を象徴するものであると満足の意を表明した。ちなみに前回の選挙ではＢＮは当初国会132議席を獲得、その後野党議員の与党への転向が続出し、最終的に162議席とした経緯がある。
野党勢に関しては、ＰＡＳ26議席、民主行動党(DAP)10議席、アンワル前副首相夫人ワン・アジザ女史に率いられるパルティ・クアディラン・ナシオナル(PKN:正義党)5議席、サバ統一党(PBS)3議席と、マレー人を支持基盤にするＰＡＳが健闘した反面、華人を支持基盤にしたＤＡＰが党勢を後退させ、リム・キットシアン書記長やカパール・シン副議長等の党幹部が何れも華人密集地のペナンで落選すると言う結果に終わった。
またアンワル前副首相の支持者により組織されたＰＫＮは、党首のアジアザ女史がアンワル氏の前政治秘書を大差で撃破、当選を果たしたものの、獲得した国会議席は僅か5議席にとどまった。
野党勢は国政レベルでは総じて前回に比べ勢力を僅かに拡大したものの、与党の安定多数に脅威を及ぼすには至らなかった。州議会選挙の詳細は明らかでないが、アンワル前副首相解任劇がきっかけで実現した史上初の野党共闘も与党の支持基盤を切り崩すことはできなかったようだ。