1999-11-23 ArtNo.21103
◆<星>人民行動党、3タイプの人材リクルート:首相
【シンガポール】ゴー・チョクトン首相は21日、与党人民行動党(PAP)が党勢拡大の面で困難に直面していることを認めるとともに、新党員のリクルートに際して3つのタイプの人材に照準を合わせる方針を明らかにした。
PAP書記長を兼ねるゴー首相がこの日催されたPAPの結党45周年大会の席上語ったところによると、第1のタイプは、専門職/学者/企業家/上級管理職等の思考型人材で、第2のタイプは、毎年誕生する18万人の新有権者に政府与党の政策/理念を伝達する活動分子、第3のタイプは、PAPに対する支持を公言し、大衆の政府支持を醸成するような大衆型人材で、PAPはこれら3タイプの人材を確保する必要がある。
中国共産党は6000万人、マレーシアの統一マレー国民組織(UMNO)は300万人の党員を有するが、PAP党員は5万人に満たない。中国共産党やUMNOと同レベルの膨大な党員を獲得することは望まないにしろ、国民に政府の政策を伝達し、有権者の支持を確保するためにも、より多くの党員を獲得せねばならない。この点についてはPAPは全国労働組合会議(NTUC)と同様の問題を抱えている。シンガポールの労働者は、組合に参加しなくても昇給や福祉を保証されるため、組合費を払ってまで労組に加わろうとしない。同様に何の物質的利益も得られぬPAP党員になることを望む国民は少ない。
しかしシンガポールの今日の成功と繁栄はPAPにより涵養された清廉、規律、秩序、家族、公正、公平を重んじる核心的価値観に負うている。この種の価値観は決して他の発展途上国全てが保持している訳ではない。最近首相は南アフリカで開かれた英連邦会議に出席したが、同会議に参加したメンバー54カ国の内33カ国は人口150万人以下の小国だった。これらの国の多くは農業を主体とした貧困国で、何れもグローバル化、自由化の潮流から何ら利益を汲み取ることができない状況に置かれている。
しかしシンガポールの1955年当時の人口も155万人だった。PAPが政権を握った1959年の国家準備金は8700万Sドルに過ぎず、このためPAP政府が行った最初の措置は政府閣僚と公務員の減給だった。こうした環境の下で、シンガポールが生存し、成長を遂げられたのは、清廉な党と政府が存在したためと言う。(ST,LZ:11/22)
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