1999-11-12 ArtNo.20997
◆<星>上級相、自由市場制度の貫徹をインドネシアに提言
【シンガポール】リー・クアンユー上級相は、インドネシアの国際顧問団のメンバーに就任後、先ず何を提言するかとのロイター社の質問に対して“自由市場”、“自由競争”、“透明さ”、“倫理綱領”の貫徹を掲げた。リー氏はアジア経済危機の発生以前にも、隣国に対して同様の勧告を行ってきたが、経済危機後もこの点に関しては些かの迷いもないようだ。
リー氏によれば、インドネシアの眼前には災いをもたらす様々な道が存在すると同時に、経済再建と政治的安定に役立つ多くの道も存在する。シンガポールがなすべきことは、正しい道を選ぶよう支援することであり、2つのことを実行できる。第1に投資家がインドネシアへの投資に自信を回復するような環境を醸成すること、第2にシンガポール周辺のインドネシアの島嶼と、シンガポールの送電網、ソフトウェア、通関、保険、銀行システム、その他全てのインフラをプラグインし、これらの島嶼の経済を活性化させること。
シンガポールのビジネスマンが実務的で、慎重なことは周知のところとなっている。従ってシンガポール企業がインドネシアへの投資を行えば、諸外国の投資家もこれに倣い、触媒効果を発揮する。シンガポールの周辺諸島への投資は、比較的容易である。ゴー・チョクトン首相は、インドネシアの事情に通じたシンガポールや諸外国のビジネスマンのチームを組織し、具体的に何ができるかを討議することを計画している。同計画は来年の断食月明け後にに実行に移されると言う。
リー氏はまたアチェやイリアンジャヤにおける分離主義者の活動について、インドネシアの大統領及び軍にとって、最も御しがたい困難な問題と語った。それによるともしこれらの分離主義者が国民投票を認められ、独立を選ぶとすれば、インドネシアは大きなリスクを負うことになる。誰もがそのことを理解し、そのような事態を望んでいない。こうした状況を回避するには、ある種の妥協がなされねばならず、より大きな自主権と、資源の管理権を認めることが考えられる。しかしジャカルタがそうするなら、他の省や地域も同じことを要求するものと見られる。
いずれにしてもインドネシアに今後誕生する政府は、決してスハルト政権時代のような権威を有することはなく、スハルト政権時代と同様な安定は望めないと言う。(ST,LZ:11/11)
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