1999-11-11 ArtNo.20983
◆<星>半導体産業がHDD産業に代わり国内経済牽引
【シンガポール】シンガポールの半導体産業は、向こう数年国内電子産業の中で最も急成長を遂げ、ディスク・ドライブ(HDD)産業に代わり、国内経済成長の牽引役を務めるものと期待されている。
経済開発局(EDB)電子産業開発部のBarry Sim部長によると、シンガポールの半導体産業は約2万3000人を雇用する40社以上の中核企業とこれを支援する160社ほどの企業により形成されている。電気通信とインターネットの普及に伴い半導体産業の成長は加速する見通しで、年率12~13%の成長が見込まれる。半導体チップは、コンピューターから携帯電話に至るほとんど全ての電子製品に用いられているが、世界の大部分の地域がオンラインでリンクされるインターネット時代には一層の需要が見込まれる。この種のチップの設計/製造に携わるシンガポールの企業は目下年間110億Sドルの営業額を上げており、電子産業生産の5分の1を占める。
シンガポールの主要輸出電子品目に数えられるHDDの生産は下降が見込まれるが、半導体は、これを補填した上に一層の成長の原動力を務める見通しだ。
シンガポールの製造業生産の半ばを占める電子産業は半導体部門の他、記憶装置部門、イメージング部門、コンピューター部門、消費用電子製品部門、通信機器部門から成る。
半導体産業はシンガポール電子産業生産の18%を占めるが、その乗数的な波及効果から投資家やアナリストらにより注目されている。ボイス、ビデオ・コンパクト・ディスク、オーディオ・ビデオ装置等のデジタル化も半導体に依存している。
世界のチップ販売は今年の1550億米ドルから2003年の2500億米ドルに拡大が見込まれ、シンガポールの半導体契約製造会社チャータード・セミコンダクター・マニュファクチュアリングの株価がデビューと同時に公募価格を53%上回る5.20Sドルをマークしたことにも、同業界の先行きに対する投資家の自信が反映されている。
シンガポールには世界のトップ10に数えられる半導体会社が全て拠点を設けているものの、台湾は多くの点でシンガポールに先行している。シンガポールが世界半導体市場のより大きなパイを確保するには台湾との競争に勝たねばならない。
しかしシンガポールは1997年と1998年にはUS$1000パーソナル・コンピューター用マイクロプロセッサーの世界需要の半ば以上を供給、またトップ・エンド集積回路(IC)のデザイン、ウエハー製造、ICの検査/組み立て業務等ので、世界をリードする競争力を備えている。益々多くの企業がチップ・デザイン領域で鎬を削っているが、同領域はEDBが振興するターゲットの1つ。今年7月にはこうしたEDBの努力が実を結び、米国拠点のBroadcom Corpがアジア本部をシンガポールに開設した。ブロードコムは広帯域通信用IC開発のスペシャリストで、同社はシンガポールにICデザイン・センターを開設した。
ウエハー製造部門も成長が見込まれ、シンガポールの半導体生産の20~25%に貢献する見通しだ。こうした楽観的見通しは、欧州第2のチップ・メーカー、STマイクロエレクトロニクス等が、ハイエンド製品の製造拠点としてシンガポールに注目しているためと言う。(ST:11/9)
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