1999-11-05 ArtNo.20940
◆<星>スーパー・フロッピー会社管財人、新資金注入者物色
【シンガポール】大容量フロッピーの開発製造を手がける地元企業ORコンピュータ・システム(ORC)の管財人プライスウォーターハウスクーパーズ(PwC)は3000万米ドル余の負債を抱え財政難に陥ったORCに新資金を注入する救済者を物色している。
ORCは1995年に120MB(メガバイト)の記憶容量を有するスーパー・フロッピー・ディスク装置の特許権を有する米国企業インサイト・パリファラルズを買収、一時は次代の地場多国籍企業になるものと期待されていた。
ORCのスーパー・フロッピー・ディスク装置の特徴は、記憶容量が大きいだけでなく、従来の1.44MBフロッピーにも対応していること。このため世界中の1.44MBドライブをリプレースする潜在性有するものと期待されていた。ORCのスティーブン・ラム氏は当初、「もし道さえ誤らなければ、シンガポールのMNCになることができる」と抱負を語っていた。実際コンパック・コンピュータを初めとする、少なからぬ業界のリーダーがORCの製品の採用を決めた。ORCは1997年当時、当初月間20万ユニットを生産、同時に研究開発(R&D)に1000万米ドルを投じると発表していた。
しかし創業15年のORCの経営は、昨年当たりから翳りが生じていた。観測筋によるとスーパー・フロッピーは確かに一定の成果を収めたが、Zipドライブや書き込み可能CD-Romドライブとの競争に直面した。ORCはスーパー・フロッピーの製造を開始した企業からのロイヤルティー収入を得られたものの、ローンの返済には十分でなく、財政難に陥った。消息筋は、ORCはあまりに急速に事業を拡張し過ぎ、ローン支払いに見合った収入が得られなかったと指摘する。とは言えORCの技術は依然として市場価値を有し、4000万米ドルと見積もるものもある。実際シンガポールや日本の少なからぬ企業がORC権益の取得に関心を表明していると言う。(ST:11/4)
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