1999-11-04 ArtNo.20922
◆<星>来年のGDP成長率4.7%に鈍化:アナリスト
【シンガポール】クレディ・スイス・ファースト・ボストンの上級エコノミストP.K. Basu氏によると、シンガポールの来年の国内総生産(GDP)成長率は、米国の電子製品需要の減退に祟られ、4.7%にとどまる見通しだ。
同氏によると、今年第3四半期のシンガポールのGDP成長率は堅調で、第4四半期には一層の好調も予想されるが、米国における電子製品需要が下降線を辿ることはほぼ確実で、来年下半期には世界的な電子製品需要の軟化が予想される。
米国における電子部品に対する新規発注額は依然として6ヶ月先のシンガポールの輸出パフォーマンスの最良の指標だが、同発注額は部分的に米国における在庫サイクルに依存している。過去3ヶ月間の米国における在庫水準の上昇は、将来の新規発注の下降を暗示している。仮に在庫水準の上昇基調が向こう3ヶ月も持続するなら、シンガポールの国産非石油製品輸出が来年下半期に大幅な落ち込みを見ることは避けられない。
とは言え、再度リセッションに陥る恐れはない。これは日本、欧州、その他のアジア諸国の需要が引き続き堅調なためで、特にアジアの輸入需要はシンガポールに大きな恩恵を及ぼしそうだ。
シンガポール経済自体の健全さも重要な契機の1つで、今年下半期には労働の生産性が25%以上成長、単位労働コストは30%以上下降するものと見られる。このためマレーシア通貨に対するSドルの強化に関わらず、シンガポール経済は競争力を維持できる。このことは電子業界以上に、石油化学や医薬品産業に恩恵を及ぼす見通しと言う。(ST:11/3)
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