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1999-10-25 ArtNo.20800
◆<星・香港>共通通貨制の導入を検討すべき時期:香港財務長官
【シンガポール】香港特別行政区のDonald Tsang(曽蔭権)財務長官は、先週水曜、シンガポールで開催された東アジア経済サミットに出席後、ストレート・タイムズ紙のインタービューに応じ、シンガポールと香港が共通通貨の導入を検討すべき時機が到来しているとの考えを語った。
曽氏は、金融制度のグローバル化に伴う未曾有のチャレンジの下では、考えられないようなことも一考する価値があるとして、以上の提案を行った。それによると例えば5年乃至7年先に香港とシンガポールが共通通貨を採用するような事態が生じるなら、その時には香港はHKドルと米ドルとのリンクを停止し、シンガポールは管理された変動相場性を放棄する必要がある。
シンガポール金融管理局(MAS)はSドルの国際化に神経をとがらせているが、東アジア経済危機を経た後、シンガポール・ドルにより大きな地域的役割を期待する声が高まっている。しかしシンガポールの指導者は小さな経済規模を理由に、こうした可能性を否定する姿勢を保っている。
香港とシンガポールの競争は無意味で、主要な競争者は札幌、ストックホルム、ヨハネスバーグである。またインターネット時代には国境は消失する。これまでアジアの単一通貨制度は円を軸に語られてきたが、日本を中核とする構想には一部の国が態度を保留するものと見られる。しかし過去の先入観は捨てるべき時を迎えている。
世界は明らかにより大きなユーロランドと北米自由貿易圏(NAFTA)に吸引されつつある。それに引き替えアジアは多数のソブリン通貨が存在し、不安定な状況を呈している。台湾、マレーシア、韓国等の相対的に閉ざされた経済体の通貨を単一通貨制に導くのは極めて難しい。しかし閉ざされた経済体制を21世紀にも維持することは不可能である。そこで当面、コンパチブルな通貨からスタートすれば、シンガポールが一方にあり、もう一方は香港と言うことになると言う。
しかしバークレーズのDesmond Suppleアジア調査主任は、曽氏の提案は、全く実行不可能なアイデアと指摘した。それによると、香港とシンガポールは確かに同レベルの発展段階にあるが、それぞれ異なる周辺の発展途上国に大きなエクスポージャーを有し、香港とシンガポールのビジネス・サイクルはほとんど一致していない。このため金利政策や経済政策も異なる。したがって単一通貨の導入は不可能であり、理想とも言えない
欧州でも同様なことが生じており、アイルランド、オランダ、フランスは高金利を必要としているのに対して、ドイツやイタリヤは低金利を欲しているが、結局折衷的な金利水準で妥協するほかない状況にある。
仮にシンガポールが香港と共通通貨を採用するなら、MASは低インフレ率を維持できず、シンガポール政府が最近の経済危機に際して見せた機動的対応も望めなくなると言う。(ST:10/22)
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