1999-10-22 ArtNo.20790
◆<馬>新予算案上程機に、所得減税/資本管制解除も:MIER
【クアラルンプル】指導的民間シンク・タンク、マレーシア経済研究所(MIER)のMohamed Ariff Abdul Kareem常務理事(ED)は19日、総選挙前夜に国会に上程される新年度予算案には減税措置が盛り込まれる他、資本管制の解除が発表される可能性もあると予想した。新年度予算案は今月29日に国会に上程されるが、マハティール首相はその後11月中にも国会を解散するものと予想されている。
モハメド・アリフ氏によれば、新年度予算案は国内経済刺激を目指す拡張予算であり、予算赤字は国民総生産(GNP)の少なくとも5%に達する見通しだ。総選挙を前に有権者の歓心を買うある種の措置が講じられるのは、どこの国でも同じで、政府は法人税に手をつけることは欲しないが、個人所得税を引き下げる可能性がある。所得減税の背景には政治的配慮が存在するが、個人消費を刺激する実質的な経済効果も期待できる。現在の懸念材料は民間部門の投資にも消費にも目立った改善が見られないこと。このため政府支出の拡大を通じた刺激措置が引き続き必要で、向こう数年も赤字予算から抜け出せそうにない。
予算赤字のGNPに占める比率は昨年の3.7%から今年は6.1%に拡大する見通しだ。政府は資金調達の面で民間部門と競争せねばならないが、金利の上昇は抑制され、一層の金利引き下げさえ予想される。
また目立った政策の転換は予想されないものの、資本管制が解除される可能性がある。1米ドル=3.80MドルのMドル相場は、実勢より低く評価されており、3.48Mドルが実勢に近いものと見られる。資本管制は輸出を加速し、外資の引き留めに役立っているものの、長期にわたり維持すればリソース・アロケーションに歪みを生じる。製造業者や輸出業者は現状に満足し、コスト削減に努力しなくなる。
外国ポートフォリオ投資は今年2月以来、累積13億Mドルが純流出、9月22-29日の1週間だけで3億9500万Mドルが流出したが、外国投資家は総選挙の結果と予算案の内容を見た上で、対応を決めるものと見られ、総選挙が終わるまでは目立った改善は望めないと言う。(BT:10/20)
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