1999-10-22 ArtNo.20786
◆<星>日本経済の復興にはなお5年:リー上級相
【シンガポール】リー・クアンユー上級相は19日、日本はその経済/金融システムに対する徹底的な改革を必要としており、日本経済の全面的回復にはなお4~5年を要するとの見通しを語った。
ワールド・エコノミック・フォーラム(WEF)主催の第8回東アジア経済サミットの席上講演したリー氏によると、日本経済が90年代に入って以来低迷を続けているのは、経済の国際化、世界資本市場統合の必然の結果である。日本は多年にわたりアジア諸国の経済建設の模範とされてきたが、その実日本経済は閉鎖的社会構造の上に築かれたもので、高い貯蓄率と低金利をその特徴としている。こうした環境の下、企業は最大の投資収益実現を目指さず、非効率な資金の運用を続けてきた。こうした経済構造が維持されるなら、日本経済はさしたる問題に直面せず、電子業や造船業等、ある種の領域では引き続き世界をリードできたはずである。しかし米国や欧州の圧力の下、日本は金融市場さえ開放を強いられ、金融システムの基盤が動揺したばかりでなく、円の変動も日本企業の競争力に深刻な影響を及ぼした。
こうした中で日本政府が複数の専門委員会を設け、21世紀の経済指針樹立に乗り出しただけでなく、日本企業も伝統経営的方式の改革に取り組んでいる。
多年にわたり日本の経済建設を模倣してきた韓国も同様な問題に直面しているが、アジア諸国が取り組む経済改革の困難さは、それぞれの国の置かれた環境により異なる。例えばシンガポールや香港は元々開放市場と投資収益志向の経済建設を進めており、今後もこうした方向を一層徹底するだけである。しかし他の国、例えばタイは金融機構改革が完成していないにも関わらず、金融国際化の波に直面しており、改革に伴う苦痛は大きいと言う。(ST,BT,LZ:10/20)
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