SEAnews 1999-10-11 ArtNo.20665

【シンガポール】香港の実業家リチャード・リー氏は8日、シンガポールの赤字インターネット会社SilkRouteの25.1％の権益を2690万米ドルで買収する契約に調印した。国家コンピューター局(NCB)の元情報技術(IT)アーキテクツ、Wong Toon King氏(33)が5年前に仲間と10万Ｓドルの資金を持ち寄って創設したシルクルートは、来年は余勢を駆ってシンガポールと米国の証取に同時上場する可能性を検討している。
いずれもアジアウィークのトップ20リーダー(ﾋﾞｼﾞﾈｽ/ﾌｧｲﾅﾝｽ)にランクされた2青年は向こう数年利益計上が望めぬ企業の采配を分掌することで合意した。
シルクルートの昨年の営業額は500万Ｓドルに満たないが、フェンシング全国代表選手の経歴も有するウォン氏は調印式後、ナスダックとシンガポール証取(SES)に同時上場する可能性を示唆するとともに、その際の時価総額は10億Ｓドルに達するとの強気な見通しを示した。同社はマレーシア、香港、タイ、メキシコ、米国にオフィスを展開、積極的な事業拡張を図っている。
リー氏が経営するＳＥＳ上場のパシフィック・センチュリー・リージョナル・デベロプメント(PCRD)傘下のパシフィック・センチュリー・サイバーワークス(PCC)はシルクルートの25.1％の権益に対して、現金600万米ドルと、自社株2500万株(1株6.50HKﾄﾞﾙ)を支払うことを認めた。不動産開発と保険業をメインとするサイバーワークスは、さらに660万米ドルを支払い、持ち分を30％に引き上げるオプションも認められている。リー氏はこれにより、シルクルートの2番目の大株主になる。しかしウォン氏とそのチームは依然として過半数権益を維持できる。
サイバーワークスとシルクルートは、今回の戦略提携を通じてそれぞれ相手のホームグランド(ｼﾝｶﾞﾎﾟｰﾙ)に橋頭堡を築くことができる。両社は共同でインターネット・スタートアップ企業に投資、アジア全体をカバーするネットワークの構築を図る。
香港の情報スーパー・ハイウェイ事業“サイバーポート・プロジェクト”も手がけるサイバーワークスは世界をカバーするオンラインＥコマース、エンターテーメント・サービスを計画、過去数ヶ月関係スタート・アップ企業に積極的な投資を行っている。最近の例ではアジア名所案内ウェブサイトの経営や中国語オンライン・コンテントの提供を手がけるStar East Information Technology Corpの20％の権益を買収しており、シルクルートの権益獲得は、アジア・マニュファクチュアリング・オンライン・ユニットの経営にも役立つものと見られている。後者の顧客にはソニー、松下、フィリップス等が名を連ねている。(ST,BTLZ:10/9)