1999-10-06 ArtNo.20621
◆<星>メディアリング、SES上場/ナスダック登録も
【シンガポール】地元インターネット企業MediaRingはシンガポール証取(SES)上場を目指すとともに、来年は米国ナスダックへの登録も計画している。
メディアリングのChua Kee Lock重役(COO)はBT紙に以上の消息を語ったが、チュア氏も他の幹部も上場計画に関してそれ以上具体的なコメントは控えている。
チュア氏によると、メディアリングは、クリエイティブ・テクノロジー等からの4500万Sドルの当初資金に加え、最近別の投資家4社から新資金の注入を得た。
メディアリングはPC(パソコン)ユーザーがインターネットを通じて海外の他のPCユーザーや通常の電話ユーザーと、音声による通話を行うことを可能にするソフトウェアを無料で提供している。PC対PCの通話は無料だが、PC対電話の通話は料金を徴収される。メディアリングの主要な収入源は通話中にPCモニター上に表示されるフラッシュ広告。目下約50社がこの種の広告主を務めているが、大部分はシンガポール以外の国の企業で占められている。
同ソフトウェアの利用者は急速に増加しており、今年3月には延べ30万人が300万分のネット電話を行ったが、現在では世界140ヶ国の140万人が月間1700万分の通話を行っている。シンガポールのユーザーは全体の0.5%を占めるに過ぎない。
メディアリングは2カ月以内に香港に新オフィスを設けるとともに、6カ月以内に従業員を30人追加する。同社のスタッフは今年3月の50人から現在の160人に増加している。これらのスタッフには、スウェーデンの大手電気通信会社エリクソンのインターネット・テレフォニー部門ヘッドを務めた経歴を有するChristian Nordberg氏も含まれ、同氏は欧州セールス担当の副社長として、目下ロンドンに駐在している。エリクソンは過去数カ月間にメディアリングの戦略パートナーに加わった多国籍企業の1社で、この他コンパック・コンピューターはメディアリングのソフトウェアをそのPC製品にバンドルして欧州市場で販売、台湾と韓国のインターネット・サービス・プロバイダー(ISP)、SeedNetとHanmailは、それぞれの顧客にメディアリングのボイス・ソフトウェアを配布、国際長距離電話会社MCI Worldcomはそのネットワークをメディアリングのインターネット・コールの利用に供している。メディアリングはこの他、米国のネット検索エンジン会社Lycosと欧州最大のメディア・グループBertelsmannが合弁で欧州に設立したLycos-Bertelsmannのインターネット・ポータルの独占ボイス・サービス・プロバイダーを務めている。チュア氏によると、今後更に多くの著名な国際企業とパートナー契約を結ぶ方針だ。
しかしメディアリングの収入は依然僅かで、採算ラインに乗っていない。この点に関してチュア氏は「多くのインターネット企業は今のところ赤字経営だが、こうした企業の経営者は決して狂気と言う訳ではない。インターネット市場は急速に拡大しており、同市場で支配的地位を確立するには、研究開発やマーケッティングに多額の投資を必要とする」と付言した。(ST,BT,LZ:10/5)
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