1999-10-05 ArtNo.20607
◆<星>KRDL、シリコン・バリー進出で現地パートナー物色
【シンガポール】国家コンピューター局(NCB)傘下の情報技術研究所(ITI)と国立シンガポール大学(NUS)システムズ・サイエンス研究所(ISS)が1998年1月に合併して発足したKent Ridge Digital Labs(KRDL)は、米国シリコン・バリーに拠点を設けるため、現地パートナーを物色している。
域内の指導的ソフトウェア・ハブを目指すKRDLのJuzar Motiwalla所長(CEO)が先週語ったところによると、米国に設ける拠点は同研究所で開発された新製品や新技術を市場に投入する際の仲介役を務めるだけでなく、米国、取り分けダイナミックな発展を遂げるシリコン・バリーとKRDLのリンクを強化する役割を担う。
KRDLはこれまでシリコン・バリーの経験に学んで来たが、そのつど人を派遣していたのでは、時々刻々変化する技術の動向やその影響を把握することはできない。解決策は、誰かがある種の方式によりシリコン・バリーに定住し、この種の役割を担うとともに、多角的なコネクションの構築を図ること。
目下この種の役割を担う数人のキー・スタッフを選考しているが、KRDLとしては、シリコン・バリー定住組がKRDLとの共同作業に喜んで取り組むような刺激を提供せねばならない。
米国はシンガポールのハイテク・スタートアップ、取り分けKRDLの“ブリッジング・ユニット”戦略からスピン・オフした者やKRDLにより開発されたライセンス技術のオーナーにとっては、お誂え向きの市場である。
過去5年間にスタートアップ15社がスピンオフしており、これらには最近フォーチュン誌のカバー・ストーリーに取り上げられたシリコン・バリー拠点の“サード・ボイス”が含まれる。別に複数のKRDLゆかりのスタートアップや合弁会社が近く離陸する見通しだ。
現在モティワラ所長を常に苛む強迫観念は「市場は一体何を求めているのか」と言うこと。このため同氏はリサーチャーらに「その技術がどのようなものか」よりも、「その技術がどのように世界にアピールできるか」に照準を合わせるよう激励している。
KRDLのもう一つの主要戦略は“コンペティティブ・インテリジェンス(CI)”。CIは、ビジネス・モデルとマーケット・トレンドあるいはビジネス・トレンドの2つの側面を有する。例えば新製品を開発する際には、キープレーヤーは誰なのか、誰がパートナーを務められるか、誰が競争者かを常に念頭に置く必要がある。その実、KRDLも2年前まではこうした点をそれほど理解していなかったと言う。(BT:10/4)
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