【シンガポール】バンク・ブミプトラ・マレーシアの元重役(ED)、Datuk Mohd Taufik Abdullah氏が23日、巨額な負債を抱え経営難に陥ったセスダック登録の電子製品流通／製造会社ゴールドトロンに3500万～6500万Ｓドルを注入することを引き受けた。
Johor Port Bhd会長やMalaysian National Reinsurance Bhd 及びSMPC Metal Industries Bhdの取締役も務めるモハド氏は、Arthur AndersenパートナーのNicky Tan氏(ｺﾞｰﾙﾄﾞﾄﾛﾝ財務顧問)が過去1年間に接触した1ダースにのぼる潜在投資家の中から、2500人の従業員を擁するゴールドトロンの利益に最もマッチした投資家として選びだしたもの。
今回結ばれた契約の下、モハド氏は3500万Ｓドルの新資金注入の代償としてゴールドトロンの増資後の60％に相当する新株を受け取る。仮に6500万Ｓドルが注入されるならモハド氏の持分は74％にアップする。
新資金の注入と債務の資本への転換により社外債務2億1000万Ｓドル、社内債務1億Ｓドルを抱えるゴールドトロンの財政状況は大幅に改善される。6500万Ｓドルが注入された際には、1株当たりの純資産は現在の23Ｓセントから44Ｓセントにアップする。
モハド氏はOng Soon Kiat氏(50)を初めとする現在の経営陣の大部分が管理職にとどまり、企業としての継続性を維持することを希望しているとされる。オン氏は会長は辞するが、常務取締役(ED)として、引き続きゴールドトロンの経営に参与する見通しだ。
ゴールドトロンは株式の評価額を20Ｓセントから5Ｓセントに引き下げることに対する高裁の承認を得るとともに、救済措置に伴う公開買付義務の免除をシンガポール証取(SES)に申請する必要がある。
ゴールドトロンは1990年代初頭から半ばにかけて脚光を浴び、株価は一時2.50Ｓドルのピークに達したが、モービルフォーン、ページャー、コードレスフォーン等の独自開発戦略が裏目に出財政が逼迫した。加えて1997年のアジア経済危機の打撃を受け、同年3月期には1億7580万Ｓドルのボトム・ライン損失を計上した。オン氏は今後は電子製品の流通と契約製造業務を中核に経営の再建を図るとしている。(ST:9/24)