1999-09-09 ArtNo.20349
◆<星>コンポーネント不足で、契約製造業者の前途に陰影?
【シンガポール】メリル・リンチがコンポーネント不足を理由に先週シンガポール拠点の契約製造業者の評価を下方修正したことから、関係銘柄が一斉に値下がり、市場関係者を慌てさせている。
メリル・リンチのアナリスト、バーナード・タン氏は、コンポーネントの供給不足から、シンガポール拠点の契約製造業者が生産目標や売上見通しを達成できないリスクが高まったとし、ナットスチール・エレクトロニクスLtd(NEL)やベンチャー・マニュファクチュアリング等の評価を下方修正、これを受けてこれらの銘柄は先週値を下げた。今週月曜には多少盛り返したものの、ロイター社の類似の報道で火曜には再度値下がりした。
タン氏によれば供給不足は、タンタル・キャパシタ、クリスタル・オシレーター、メモリ、フラッシュ、SAWフィルター、チップセット、ロジック・チップ、プラスチック・モールド等の領域に及び、取り分けキャパシタの不足が深刻だ。この結果大手契約製造業者の生産実績は目標を10~15%下回る可能性があり、中小業者に至ってはその比率が30~40%に達する恐れがあると言う。
NELのChay Yee Meng財務担当重役(CFO)は、コンポーネント不足を認めたものの、生産目標を達成できるか否かについてはコメントを控えた。JITのGay Chee Cheong重役(ED)は過去数ヶ月の需要急増で通信機器部門がコンポーネント不足に直面していることを確認した。
欧州系証券会社のアナリストは、製造業界は既に2カ月前から部品の供給不足に見舞われていると指摘する一方、この種の戦争では誰かが敗北を喫するが、シンガポールに敗者が出るとは思わないと付言した。
メリル・リンチの件のアナリストによると、同氏はシステマティックなリスクに基づき関係銘柄の評価を下方修正したが、個々の業者がどれほどの影響を受けるかを予測するのは不可能と言う。(BT:9/8)
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