1999-08-19 ArtNo.20152
◆<星>政府、保険市場の開放準備:首相
【シンガポール】リー・シエンロン副首相は16日当地で催された第19回太平洋保険会議の席上、2003年までにシンガポールをアジアの主要な保険産業ハブにするため、国内保険市場を開放する政府の方針を明らかにした。
シンガポール金融管理局(MAS)会長を兼ねるリー副首相によると、小さな国内保険市場における不健全な過当競争を回避するため、シンガポール政府は1980年代半ば以来門戸を閉じ、鎖国政策を採用してきた。しかしこうした政策には、新製品や効率的な流通チャンネル、あるいは近代的マーケッティング戦略を備えたニュー・プレーヤーの登場を阻害する欠点が有り、過去十数年、既存プレーヤーのシェアを奪い去るような変化や既存プレーヤーのアップグレードを促すような競争はほとんど生じなかった。またシンガポールの国内市場は1980年代半ば以来急速な発展を遂げた国際保険市場と隔絶されてきた。このため、1986年以来新たに生命保険ビジネスに参入したのは1社のみで、また無数の零細プレーヤーが生きながらえた。
シンガポール及びマレーシアには少数の経営状態の良好な保険会社は存在するものの、目立ったリージョナル・プレーヤーは誕生していない。
このためMASは保険業に見直しを加え、地元業界と外国保険会社の双方をターゲットにした青写真を作成、市場を開放する方針を決めた。
銀行業においては、地元銀行の存在はシンガポールの金融政策にとって不可欠であり、このため市場開放後も地元銀行の一定の市場シェアが維持されなければならないが、地元保険業は、この種の重要な役割を演じていない。このため銀行業におけるほど、地元保険プレーヤーに対する保護措置は採用されない。
また外国保険会社はこれ以前から地元プレヤーと異なる待遇を受けておらず、生命保険と普通保険領域では外国保険会社が半ば以上の市場シェアを占めている。仮に地元プレーヤーに対する保護が軽微にとどめられるとすれば、シンガポール拠点のこの種の外国プレーヤーに対する保護は一層縮小される。
新保険政策の下では、1)低生産性/高転職率のエージェントに依存せぬ、情報技術(IT)を応用したディストリビューション・チャンネルの構築、2)銀行の支店網を通じた保険商品の販売、3)高齢者を対象にした保険商品等、幅広い保険商品の開発、4)保険業者のオフショア投資等が奨励されると言う。(ST,BT,LZ:8/17)
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