1999-08-19 ArtNo.20151
◆<星>政府はオン大統領に再選不支持通告:首相
【シンガポール】ゴー・チョクトン首相は17日の国会で、政府がオン大統領の再選不支持を決めたのは、オン氏の健康状態を憂慮したためで、大統領と政府の間の軋轢が原因ではないと強調した。
それによると、オン大統領は今年2月ゴー首相に再選の意向を表明したが、首相は最新の健康診断書を取り寄せ自身の健康状態をチェックするよう勧告した。このためオン氏は3月にスタンフォード大学医療センターで健康診断を受けた。政府は4月に入ってオン氏の再選問題を閣議で討議したが、健康問題を理由に全会一致でオン氏の再選を支持せぬ方針を決めた。これを受けてゴー首相は、オン氏に政府の方針を伝えたが、オン氏は、6月に進退を明らかにするとゴー氏に語った。オン氏は7月9日になってゴー首相に再選を見合わす意向を表明するとともに、同月16日に記者会見し、その方針を発表すると伝えた。そして16日の記者会見でオン氏は大統領府と政府の間の様々な軋轢を公表した。
ゴー首相によると、オン大統領のリンパ腺癌は、既に1年前に良性から、危険度の高いものに進行しており、大統領の健康問題は国政の運営に支障を来すため、内閣は2通の医療報告書と大統領の主治医の意見も参考に、再選不支持の方針を決めたと言う。
オン大統領は先の記者会見の席上、国家準備金の管理を巡り政府との間に確執が生じたことを明らかにしたが、リチャード・フー蔵相は、この点について国家準備金の投資収益を通常の政府財源とし、過去から蓄積された準備金と区別するのは、以前からの慣行であり、また今回のリセッションにおける政府のコスト削減パッケージは、政府の現行任期内に生じた予算黒字により賄われ、準備金にしろ、準備金の投資収益にしろ、全く手をつける必要がないことから、大統領を悩ませるような問題は全く存在しなかったと説明した。
野党議員は、長期にわたり政府の副首相を務めた経歴も有する大統領と政府の間に何故この種の基本的な問題の解釈の相違が生じたのか、オン大統領は政府から再選を拒まれたために、こうした過去の軋轢を公表したのではないかと質問した。これに対してゴー首相は、オン大統領が準備金と準備金の投資収益の相違を理解できない理由が分からないとするとともに、それ以外の問題についてはオン大統領が直接尋ねてみたらよかろうと語った。
また某官選議員は、これは単なる準備金の解釈の相違ではなく、大統領と政府の信頼関係の問題ではないのかと質した。首相はこれに対して、「様々な政治経済問題に関して関係閣僚や政府官員等の意見を広く聴取し、コンセンサスを形成するのが自分の一貫したやり方だが、政府と大統領の関係は別の方式により処理する必要がある。しかし信頼関係の喪失と言った問題は存在しない」と答弁した。
一方、米国大使も務めた経歴を有する南洋理工大学(NTU)国防戦略研究所のS.R.Nathan所長(75)は、昨日(8/18)有資格の対立候補がなかったことから、28日の投票を待たずに第2代民選大統領就任が決まった。(ST,BT,LZ:8/18)
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