1999-07-27 ArtNo.19915
◆<馬>企業王国の再編にアンワル事件の陰影?
【クアラルンプル】アジア経済危機の打撃を被ったマレーシアの多くの企業王国が再編を迫られているが、アンワル前副首相兼蔵相と密接な関係を持つ企業グループと持たぬ企業グループの再編過程には顕著な相違が見られる。
アンワル氏と親密な関係を有したとされるLim Thian Kiat氏(林天傑:39)に率いられるマルチ・パーパス・ホールディングズBhd(MPHB)はリム氏の退陣後、それぞれ銀行/証券/ゲーム等の分野に特化した3グループに分断され、非中核業務は売却を強いられた。
アンワル氏時代の民営化政策の下に急成長したMalaysian Resources Corporation Berhad (MRCB)も急速に解体され、各部門ごとの生き残りが目指されている。
一方、Quek Leng Chan氏に率いられるマレーシア・ホンリョン・グループは、1980年代半ばから急速に台頭したマレーシアの多くの企業グループとは異なり、50年以上の歴史を有することから、クウェック氏がその支配権を失うことはなさそうだが、アンワル氏が蔵相時代に獲得した念願の銀行ライセンスを維持できるか否かにアナリストらは注目している。先週Hong Leong Companyの45%子会社Hume Industriesは、負債軽減策の一環として58.5%のシェアを握るCI Holdingsの持分処分を開始した。傘下に上場企業13社を擁する同グループの時価総額は150億Mドルにのぼるが、今後一層の資産売却を通じて、財政基盤の強化が図られる見通しだ。しかし中央銀行は合併統合通じて国内銀行/金融業の再編を図っており、中規模のホンリョン・バンクが果たしてい生き残れるか否かが注目されている。
しかし、経済危機の打撃を受けたのは決してアンワル氏に親密な企業ばかりではなく、ライオン・グループ、マレーシア航空(MAS)、タイム・エンジニアリング、Hicomホールディングズ、クアラルンプル・インダストリーズ・ホールディングズ、Repco Holdings等も、薄利多角経営の体質と多額な債務を抱えている。
アナリストらは、仮にこれらの企業にもアンワル氏にリンクした企業グループ同様の大胆な再編措置が採られるなら、マレーシア経済の先行き不透明は払拭されると見ている。(BT:7/26,LZ:7/23)
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