1999-07-12 ArtNo.19743
◆<星>アジア通貨危機再発の恐れはここ暫くない:副首相
【シンガポール】バンコクやクアラルンプルは依然として建築不動産の供給過剰に直面、シンガポールや香港も多少に関わらず同様の問題を抱えている。このためバブル現象が抑制されており、アジア通貨危機が再発する恐れは当面少ない。
リー・シエンロン副首相は最近のファー・イースタン・エコノミック・リビュー誌のインタビューに対して以上の見通しを語った。
それによるとリスクは依然存在するものの、現在の状況は今年初に比べ一段と改善している。アジア通貨危機最中の緊張状況は大幅に和らぎ、目下の主要な懸念材料は、経済が既に回復の軌道に乗り、急速に復調するとの過度な楽観論である。現在依然として存在するリスクには、日本や欧州経済が復調する以前に米国経済が急速に冷却化すること、中国経済に問題が生じること、域内諸国の一部に発生した問題が全地域に波及すること、域内諸国がその経済の再編を完了せぬ内に新たな打撃を被ること等が挙げられる。
また域内経済の再編は決してそう容易でなく、例えば韓国の財閥を解体することは、韓国がこれまで依存してきた経済の原則や戦略を根本的に転換することを意味する。中国の銀行体系の整頓は現在抱えている不良貸付を整理するだけでなく、将来この種の問題が再発することを防止せねばならないため、時間を要する。目下中国が進めている銀行管理を各地方機関に委ねるのは正しい方向と言える。
中国はディスク・ドライブや半導体製造の面で、シンガポールの競争者になるが、総コストを比較した場合、シンガポールは依然として優位に立っている。しかしシンガポールは上流部門に力を集中する等の対策を講じる必要がある。
香港との競争に関しては、中国を後背地とする香港と、東南アジアを背景とするシンガポールはそれぞれの特色を生かして共存できる。
蘇州パークの問題は、ある地域で成功したモデルが決して他の地域でも成功するとは限らないことを物語る教訓であり、シンガポールは中国地方官員の裁量権を低く見積もった嫌いもある。しかし試して見なければ、こうしたことを知ることも出来なかったはずである。シンガポールにとって戒むべきは失敗を恐れて必要な冒険を回避することである。
もし自分がリー・クアンユーの息子でなかったら、現在直面する問題は大幅に軽減されたはずである。確かにリー・クアンユーの息子であることにより、容易に知名度を得ることができたが、シンガポールの政府に勤務して15年を経た今となっては、リー・クアンユーの息子であることが制約になっている。自分の性格は父親とは異なり、その経験や時代背景も異なることから、自分自身の道を開拓せねばならない。
ゴー・チョクトン首相は内外の高い評価を得、最早誰も首相の座を暖める暫定首相とは見なさなくなっている。もし自分が国会議員や選挙民の支持を得られるなら、その期待に応じるよう最善を尽くすが、ゴー首相を締め出し、自らその地位に就くとが、現在の指導体制を一層強化することにつながるとは思わないと言う。(ST,BT,LZ:7/10)
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