1999-07-12 ArtNo.19742
◆<星>国産電子製品の米国市場シェア縮小:MASレポート
【シンガポール】シンガポールの対米電子製品輸出のシェアは1996-1998年の間に縮小、台湾、中国、メキシコ、そして大部分のASEAN諸国のシェアが拡大した。ちなみに日本と韓国製電子製品のシェアも同期に縮小した。特にシンガポール製ディスク・ドライブ及び半導体の米国市場におけるシェアは同期間に顕著な縮小を見た。
シンガポール金融管理局(MAS)の調査報告によれば、シンガポール製の機械/運輸機器輸出、あるいは標準的な国際貿易分類(SITC)カテゴリー7に属する商品の1996-98年の間の対米輸出の半ば以上が、データ処理機器、取り分けディスク・ドライブで占められ、それ以外の主要品目は電子管(大部分が半導体)とオフィス機器/データ処理機器部品となっている。これらの3品目の対米輸出では、シンガポールは、日本及び韓国とともに最大の落ち込みを見たトップ5に名を連ねている。1991-1996年の間には東アジア/ASEAN諸国の中で、シンガポールとマレーシアだけが、米国/欧州/日本向け電子製品輸出のシェアを拡大、これとは対照的に香港/韓国/台湾のシェアが縮小した。
シンガポール製データ処理機器部品の米国市場におけるシェアは1996-98年の間に9.4%に3%ポイント縮小したが、マレーシアのシェアは同期間に2倍以上の11%に拡大した。ディスク・ドライブの対米輸出は1996-98年の間に絶対量も減少、これに反して中国、マレーシア、フィリピン、タイの対米輸出が拡大した。
シンガポール製半導体の対米輸出シェアも同期間に7.6%から6%に下降した。シンガポールの対外貿易は、半導体市況が世界的に低迷した同期間も半導体輸出に大きく傾斜していた。米国の半導体輸入は1996-98年の間に10%の落ち込みを見たが、シンガポールの対米半導体輸出は同期間に29%下降した。
日本/韓国/シンガポールはいずれもメモリ製品の輸出に大きく依存、取り分け16Mb/64Mb-DRAMチップの値下がりで大きな打撃を被った。これに対して台湾は専門用途の集積回路(ASIC)を主に生産していたため、打撃は小さかった。
先週発表された貿易開発局(TDB)の統計数字も米国電子市場におけるシンガポールのシェアが年初4-5カ月間に下降し、隣国のシェアが経済危機以前の水準に回復、もしくはそれ以上に拡大したことを示している。しかもシンガポールの輸出の退潮は米国市場に限らず、世界市場シェアも1996年から1998年初9カ月の間に2.2%から1.8%にダウンした。
とは言え世界的な電子市況の回復と政府のコスト削減措置等によりシンガポールの輸出は回復に転じる見通しで、米国のシンガポール向け電子関連直接投資も健全な、また隣国を上回る速度で成長を見ている。
MASレポートによれば、シンガポールはアジアの隣国やアイルランド等の厳しい競争に直面、いわゆる高付加価値領域においてさえも生産工程の標準化が進む中で競争力を喪失しつつある。したがってシンガポールにとっての挑戦は技術や技能の開発面で世界の先頭に立つことができるか否かにかかっていると言う。(BT:7/10)
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