1999-07-07 ArtNo.19700
◆<星>CSMのファンドリー・ビジネス選択は正解:元モトローラ幹部
【シンガポール】ウエハー製造ビジネスは高価で、しかもリスクの大きいビジネスだが、Chartered Semiconductor Manufacturing (CSM)が12年前に純粋なファンドリー・プレヤーとしての道を選んだのは遠望を備えたもので、正解だった。
半導体大手のモトローラを退職して昨年5月に世界第3位のファンドリー会社CSMの最高経営者(CEO)に就任したBarry Waite氏はCSMの経営戦略を以上のように評価した。ウエハー・ファブのコストは20億米ドルにのぼり、このため一部のチップ・メーカーは独自のファブを持たず、専らファンドリーを利用している。一方、純粋なファンドリーは自社ブランドのチップを製造せず、専らサード・パーティーのチップ製造を引き受けている。ファンドリー市場は今年は昨年比40%増の60億米ドルに達し、2002年には120億に倍増するものと予想されている。
それにしても、政府系シンガポール・テクノロジーズ・グループはそれほど多額の資金を投じてまでして何故CSMを経営せねばならないのか。バーリ・ウェイト氏はこの点について「半導体は日常生活の必需品であり、ナリッジ・エコノミーの中心を成すものだから」と回答する。
ウエハー・ファブ・ビジネスの市況には周期が有り、しかもファブ・ビジネスのコストは嵩むが、CSMは景気の変動が少なく、好収益が見込める領域に照準を合わせている。
ウェイト氏がCEOに就任して以来CSMはコンピューター領域からデータ/通信領域に、またメモリ・チップからシステム・レベルの技術に照準を移した。
シーメンス、富士通、ナショナル、LG、ヒュンダイ、モトローラらは何れも膨大な投資計画を発表した後、昨年はプロジェクトを棚上げしたり、ストップした。これらのプラントは純粋にウエハーの製造を手掛けるもので、技術の進歩や新技術の誕生は望めない。
これに対してCSMは少なからぬ多国籍企業と技術提携しており、こうした技術協力はウエハーの製造の全サイクルをカバーしている。こうした方式はスタッフの技術向上を促し、顧客の製造及び研究開発の時間とコストの節約にも寄与する。CSMは地元の高等学府とも協力関係を結んでおり、こうした教育機関の研究人員の多くは最終的にCSMに入社している。
CSMは昨年8インチ・ウエハーを前年の2倍の60万ユニット製造、売上も15%拡大した。同社は今年も50%の売上増を見込んでいる。しかし業界ナンバー・ワンのTaiwan Semiconductor Manufacturing Coや、やはり台湾企業のナンバー・ツーUnited Microelectronics Corpを追い越し、トップに立つ考えはない。同社は野心的な成長目標を有するが、必ずしもトップに立つ必要はないと言う。
ちなみにDP Information Network Pte LtdとErnst & Young Consultants Pte Ltdにより作成されたシンガポール企業1000ランキングの中でCSMの売上は、154位にランクされている。(BT:7/5)
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