1999-07-06 ArtNo.19692
◆<印度>卸売物価上昇率、過去17年来最低の2.53%記録
【ニューデリー】インドの6月19日までの1週間の卸売物価指数(WPI)上昇率は、農業部門の記録的豊作に伴う食品や他の一次産品の値下がりで、17年来最低の年率2.53%をマークした。
これ以前には1982年3月に2.4%の上昇率が記録されており、今回の上昇率はこれに次いで低い。6月12日までの1週間については過去14年来最低の3%がマークされた。消費者物価指数(CPI)の上昇率も5月には7.7%を記録、4月の8.4%から顕著な下降を見た。
国立公共金融政策学院(National Institute of Public Finance & Policy)のDK Shrivastava教授によると、農業部門の豊作が低インフレの主因だが、一時的現象に終わる可能性がある。長期的には通貨供給量と生産活動の成長に左右され、通貨供給の16-17の成長と国内総生産の6%の成長からすれば、10%が合理的な水準と言える。中期的CPIの上昇率は7-8%のレベルを推移する見通しだ。
しかし計画委員会のSP Gupta委員によると、銀行は不良資産(NPA)の拡大を恐れ貸付に慎重になっているため、目下のところ通貨供給量は国内経済動向に直接反映されていない。しかしインフレ率が余り低率なら、ある種の流動性が創出され、インフレを再燃させる恐れがあると言う
Shrivastava教授によれば、WPIが低率なことから金利引き下げが予想される。現在の15-16%の最優遇貸出金利は極めて高水準と言える。また農産品価格の値下がりは農業部門の投資を下降させ、来年の生産活動にマイナスの影響を及ぼす恐れもあると言う。
しかしグプタ委員によれば、経済動向は多くの非経済的要因により左右され、例えばKargilにおける印パ紛争が有利に展開すれば、投資の拡大も期待できると言う。
一方ICICIセキュリティーズが先週金曜発表した最新報告書は、一次産品と製造業製品の現在の状況が維持されれば、WPIの下降局面は向こう数週間持続し、1%のレベルまで下降する可能性があると予想している。それによると昨年は一次産品の値上がりに伴うWPIの急騰が記録されており、現在はこうしたハイ・レベルからの調整期と考えられる。加えて製造業製品価格は需要の軟化で低迷していると言う。(IE,ET:7/3,5)
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