1999-07-01 ArtNo.19637
◆<星>資材調達責任者指数、6月も3カ月連続アップ
【シンガポール】製造業や経済全般の動向を占う主要なバロメーターとされる資材調達責任者指数(PMI)は、外的ビジネス環境の改善を反映し、4月と5月に続き6月も上昇基調を維持、最高記録を更新した。
これにより今年上半期は3月を除けば、いずれもPMIの上昇が記録されたことになる。このことは製造業が同期間に力強い回復に転じたことを示すとともに、こうした回復基調が決して短期間に消失することはなく、ゆっくりではあるが確実な成長が維持されることを物語っている。
とは言えPMIの上昇の勢いは予想された通り2.5ポイントに鈍化した。4月と5月には、それぞれ6.8と4.1ポイント上昇していた。
シンガポール調達資材管理研究所(SIPMM)が毎月発表するPMIには新規受注/生産高/在庫/価格/雇用/納期等9種類の指標が含まれている。同指数は製造業12業種の資材調達管理者に対するアンケート結果に基づき集計され、50を超えれば製造業活動の拡張を、50を下回れば縮小を意味する。今年初以来50を超えるレベルが維持されている。
PMIが向こう数カ月も上昇基調を維持するか否かについて、SIPMMのフィリップ・ポー主任(CEO)は、多くの不確実な要因に左右されると前置きし、以下の指摘を行った。6月の指標から見ると、電子産業はこれ以前ほど急速な成長を遂げていない。同部門は米国市場に大きく依存している。とは言え域内市場は良好で、自信回復の顕著な兆候が見られる。他の業界では、例えば化学部門や金属製品部門は復調、指数上昇に貢献している。
いずれにしても6月のPMIは、製造活動の広範な拡張を背景に海外需要が力強い復調を見せていることをを示唆しており、新規受注と新規輸出注文は引き続き上昇、記録を塗り替えた。しかし納期の遅れと価格上昇の圧力に妨げられ、生産の伸びは穏やかなものにとどまっている。納入指数には一層の落ち込みが見られ、多くのサプライヤーが設備能力の逼迫を訴えている。その反面価格指数は急上昇した。
製造企業はまた不利な為替相場から輸入に代え国内業者からの調達を図っており、このため輸入指数は僅かな伸びにとどまった。しかしこのことは地元サプライヤーには恩恵をもたらしている。
強い需要と納期の遅れから、原料と完成品の在庫が拡大しているが、企業は依然として雇用拡大に慎重で、雇用の伸びは電子/化学/金属製品業界に限られている。(BT:6/29)
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