SEAnews 1999-06-29 ArtNo.19617

【ムンバイ】Essar Steel Ltd(ESL)は2億5000万米ドル変動利付きノート(FRN)の償還期限が間近に迫る中で、金融機関との債務再編協議が暗礁に乗り上げたことから、一層深刻な財政破綻の危機に直面している。
金融機関はＥＳＬが米国のMarathon Powerとの間で交換した720クローのHazira発電所売却覚書が、直ちに資金の流入につながる可能性を疑っている。金融機関筋は「ＥＳＬが7月13日(FRN償還期限)のデッドライン以前に現金を手にすることが出来れば、喜ばしいことだが、マラソン・パワーと覚書を交換しただけでは、保証にはならない」、「覚書が実際の契約に結びつくかどうかも疑わしい」と指摘した。
金融機関はこのためＥＳＬに対して1000クロー以上のエスクロー口座を設けるよう要求したが、ＥＳＬは今のところまだ同口座を開設していない。もし7日以内にエスクロー口座が設けられるなら、金融機関はＦＲＮ償還額の全額を融資する可能性もあると言う。
一方、米国に赴きディスカウント・レートによるＦＲＮの買い戻しを図ったＥＳＬチームは投資家から、売り戻しを拒絶され、やはり立ち往生している。当初の計画では金融機関はディスカウント・レートでＦＲＮを買い取り、償還期日にＥＳＬから額面による償還を受け、多少の利益が実現できるはずだった。
エスクロー口座の設立困難とＦＲＮ買い戻しの失敗は、ＥＳＬ救済計画の深刻なセットバックで、ＥＳＬはＦＲＮ償還不履行と言った事態も覚悟する必要が有りそうだ。(IE:6/27)