SEAnews 1999-06-24 ArtNo.19564

【シンガポール】今年のディスク・ドライブ(HDD)の出荷ユニット数は昨年比11.4％増の1億6030万ユニットが見込まれ、来年も15.8％増の1億8570万ユニットと、堅調な二桁成長の持続が予想されているものの、熾烈な値下げとシェア拡大競争の結果、今年の売上額は昨年比2％増の255億7000万米ドル、来年は今年の実績を僅かに下回る255億1000万米ドルにとどまる見通しだ。
ＩＤＥＭＡ（International Disk Drive Equipment and Materials Association )がこのほどシンガポールで主催した記憶装置技術シンポジウムの席上、市場調査会社データクエストのJohn Monroe調査主任が語ったところによると、短期的見通しは厳しいが、依然として好収益を実現する余地がある。業界の売上額は、1998－2003年の間には32％増の330億米ドルに拡大、出荷ユニット数は2億8270万ユニットに倍増する見通しだ。
1999年第1四半期の出荷ユニット数は、モービル／デスクトップ／エンタープライズ部門に牽引され、1998年第1四半期に比べ22.7％増の4130万ユニットに達したものと見られる。
ＨＤＤ産業は、1997年3月から1998年10月の間、業界史上最も長期にわたった過剰供給を体験したが、状況は徐々に改善している。在庫エクスポージャーは1997年第4四半期の35.3％から1998年第4四半期の16.8％に改善した。1999年第1四半期のそれは18.5％に、再びアップしているが、在庫量を出荷量の15～20％の範囲内に収められれば、収益性を改善できる。
1997／98年の間にはシーゲート、クアンタム、ウェスタン・デジタルの業界メジャーがそのシェアを縮小させ、第2線のＩＢＭ、富士通、マクスターがシェアを拡大した。
1999年第1四半期のシェアを見るとシーゲートは1998年の20.6％から19.9％に、クアンタムは17.5％から17.2％にそれぞれ下降、ＩＢＭが11.7％から13.4％にシェアを拡大し、3位に浮上した。マクスターのシェアも11.7％から13.4％にアップし、4位につけ、ウェスタン・デジタルのシェアは13.6％から12.3％に縮小、5位に後退した。
消費用電子製品やインターネット等の非ＰＣ要因とともに、パーソナル・コンピューター(PC)の成長も、記憶装置の需要に拍車をかけた。
業界の副産物として利益を蝕む泥濘が続いているが、そのことは決して業界の前途を悲観させるようなものではないと言う。(BT:6/22)