1999-06-24 ArtNo.19562
◆<星>5月の国産非石油製品輸出15.5%アップ
【シンガポール】シンガポールの5月の国産非石油製品輸出は、アナリストらの予想を上回る昨年同月比15.5%の成長を見、シンガポール経済が持続的な成長の軌道に乗ったことを窺わせた。
貿易開発局が21日発表したところによれば、主要市場における電子製品及び非電子製品の需要は何れも二桁成長を見、国産非石油製品輸出は昨年同月比15.5%増の81億Sドルをマークした。電子製品輸出は12%増の54億Sドルを記録、中でも集積回路(IC)輸出は28.6%、プリント基板アサンブリー(PCBA)輸出は23.4%アップした。しかしディスク・ドライブ輸出は+5.7%、パーソナル・コンピューター輸出は+1.3%と、微増にとどまった。またトップ5輸出品目に数えられるプリンター輸出は3.7%の落ち込みを見た。化学品や医薬品を含む非電子製品輸出は23.3%の好調な伸びを見た。
総輸出は8.1%増の155億Sドル、総輸入は15.8%増の150億Sドルで、この結果、往復貿易も11.8%増の305億Sドルを記録した。
世界的な電子産業の復調は、既に数ヶ月前からマレーシア、韓国、台湾等の他のアジア諸国の輸出を回復させており、シンガポールの国産非石油製品輸出も4月になって初めて、7カ月に及ぶマイナス成長を抜けだし、8.5%の成長を回復していた。5月の15.5%の成長率は1998年2月以来の最高で、エコノミストらが予想した11-12%の成長を上回っている。こうした大幅な成長には比較の対象になる昨年5月の数字が前年同月比4.8%下降していたことも関係している。
TDBは一部の市場や製品には依然として回復の兆しが見られないと、警鐘しているが、民間アナリストらは、より楽観的な見通しを示している。
Vickers Ballasのエコノミストによれば、情報技術(IT)製品の需要は堅調で、電子市況の回復も疑う余地がない。こうした好需要は次期四半期も維持される。シンガポール製品に対する台湾、韓国、日本の需要は好調で、第2四半期には国内総生産(GDP)の5%の成長も見込めると言う
JMサッスーンのアナリストは「今年一杯輸出は堅調を維持、電子部品の値下がりは、米国における新規発注が依然8-9%の成長を見ていることから、輸出量の拡大で相殺できる」と予想した。同アナリストによれば、在庫レベルは低く、アジア経済の目覚ましい回復も期待できることから、現在の外需が急速に収縮するとは考えられない。半年乃至1年先の製造業輸出動向を占う指標とされる非石油製品(航空機/船舶等を除く)の純輸入が33%の伸びを見たことも、輸出成長の持続を暗示していると言う。
SG証券のエコノミストも輸出成長は他の経済領域に波及効果を生じさせ、第2四半期の経済成長を牽引すると見通した。
GKゴーのアナリストは、「米国経済の成長の弾みが維持され、日本の電子製品需要が強力である限り、少なくとも向こう数ヶ月は成長が持続する」と予測する一方、2000年(Y2K)問題に対する一般の反応が不透明と懸念を表明した。それによると今年後半には、Y2K対策の完了で、消費の減速が予想される他、来年1月以降まで買い控えをする者も出る恐れがあると言う。(ST,BT,LZ:6/22)
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