SEAnews 1999-06-17 ArtNo.19486

【シンガポール】赤字経営に陥ったディスク・ドライブ・メーカー、ウェスタン・デジタル(WD)はコスト削減を目指し、今年9月までにシンガポールにおける製造業務の70％をクアラルンプル近郊の工場に移転するもようだ。
ＷＤ社はコメントを控えているが、消息筋によると、シンガポールにおけるデスクトップ用ＨＤＤ製造業務の大部分が、マレーシア工場に移転され、同工場には最近クリーン・ルームも備えられたと言われる。
同移転産業の完了後はＷＤのチャイチー工場はハイエンド・ドライブ及びＩＢＭと共同開発したデスクトップ・ドライブの2分の1の製造を手掛ける。
ＷＤのハイエンド・ドライブ製造は510万ユニットの3月期四半期出荷量の5％未満、約25万5000ユニットに過ぎず、6月期四半期のそれは22万ユニットと見積もられる。ＩＢＮがデザインしたドライブに関しては50万ユニット強がシンガポールで生産される見通しで、シンガポールにおけるＷＤの総生産量は80万ユニットを多少上回る程度になる見通しだ。これは今四半期のＷＤの予想生産量560万ユニットの14％強に過ぎない。ＷＤはこれまでその製品の半ばをシンガポールで製造してきたことから、シンガポールにおける生産量は30％以下に縮小することになる。
サプライヤー筋によれば、ＷＤのシンガポールにおける生産は既に数ヶ月前から縮小されており、今四半期の生産量は200万ユニットを下回る見通しだ。
ＷＤの当地従業員はトゥアス工場とチャイチー工場の合併後4000人以下に縮小されたが、消息筋はさらに1500人程度が解雇される可能性があると見ている。しかし、電子電気産業労連(UWEEI)のCyrille Tan書記長はＷＤ工場における新たな解雇に関する情報は伝えられていないと語った。
ＷＤはジュロン・タウン公社(JTC)からチャイチー・インダストリアル・パークの工場を借り受けており、トゥアス工場についてはまだバイヤーが見つかっていない。
これま新製品は先ずシンガポールで試験生産された後、マレーシアで大量生産されると言うパターンが存在したが、ＷＤは今や米国のラボで開発した新製品を直接マレーシア工場に送り、生産を行っている。またＷＤのアジア業務本部もシンガポールからマレーシアに移される見通しだ。
観測筋は、ＷＤの最近の動きは、コスト削減が主眼と見ている。部品納入業者の幹部もＷＤの間接費は余りに過大だったと指摘する。
一方、ＨＤＤ業界は在庫が急増する中で再び値下げ競争を開始している。2週間前には、クアンタム・コープが今期利益はアナリストらの予想の半分にとどまるとするとともに、値下がりがその原因としている。
ＧＫゴー・リサーチのエコノミストは、最近のシンガポールのＨＤＤ輸出の縮小には、ＷＤの動きが反映されていると見る一方、ライバル各社の生産拡張で6月期四半期のＨＤＤ輸出は横這いと予想した。(BT:6/15)