1999-06-11 ArtNo.19429
◆<星>アジア太平洋経済、今年は2.6%成長:PECC
【シンガポール】今年はアジア太平洋地域経済の回復の年になるが、域内19カ国の大部分の国にとって回復は小幅にとどまり、一部の国には依然としてマイナス成長の恐れが存在する。
シンガポールに事務局を置く太平洋経済協力会議(PECC)が8日発表した『パシフィック・エコノミック・アウトルック』(PEO)によると、19カ国の今年の成長率(加重平均)は昨年の0.9%を上回る2.6%が見込め、再来年は2.9%が望める。
昨年マイナス成長もしくは低成長を余儀なくされた国の多くが今年はわずかではあるがプラス成長もしくは成長の加速を期待できる。韓国はV字型の回復が予想されるが、インドネシアと香港は依然として不況を抜け出せず、日本もその可能性がある。米国の経済成長は今年3.5%、来年は1.6%までスローダウンする見通しだ。地域の経済成長は内需に導かれ、マクロ経済政策がこれを支える形になりそうだ。
PEOは、地域経済の回復は3つのエンジン(中国、日本、米国)の健康状態にかかっているとし、これまでは1つのエンジンが失速しても残る2つの推力により地域経済は十分に成長できると予想されたが、昨年の経験からこれは誤りで、特に3つ目のエンジンが逆転した場合は過去の経験則は当てはまらないことが明らかになったと指摘している。3つのエンジンのいずれかが不況に陥れば、域内経済は深刻な問題に直面すると言う。
PEOは考えられる危険性として、日本円と中国人民元の切り下げ、米証券市場の反落、米貿易赤字の拡大と保護主義の台頭、コンピューターの西暦2000年問題、インドネシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルーの政治的動揺を指摘している。(ST,BT,LZ:6/9)
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