1999-06-08 ArtNo.19379
◆<星>ビジネス・エンジェルの支援で創業リスク大幅に軽減
【シンガポール】シンガポール政府は、向こう25年間にシンガポールを世界的なテクノポリスに変身させる狙いから10億米ドルの“テクノプラナーシップ・インベストメント・ファンド(TIF)”を創設するとともに、国家科学技術局(NSTB)を“テクノプラナーシップ21コンセプト”の推進機関に定めた。
フィリップ・ヨー経済開発局(EDB)会長とともにNSTBの副会長に就任、テオ・ミンキアン会長の補佐役を引き受けた元インベストメント・バンカーのFinian Tan氏(37歳)は、自宅を抵当に資金を借り、一生の蓄えも投入して、長時間をかけて好収益を上げる企業を築き上げるなどと言うのは過去の話と語る。
通産省副次官の肩書きで2年の任期でテクノプラナーシップ21最高執行委員会の副議長になったタン氏によると、過去には、ハイテック・スタートアップ企業が銀行ローンを手に入れ、証取に上場、域内市場進出から、真の国際企業に成長するまでには、あるいは20年を要したかも知れないが、テクノロジーとインターネット時代の今日にあっては、ワールド・クラスのアイデアさえあれば、ビジネス・エンジェル(個人投資家)が資金を提供、同じことを2年で実現できる。
NSTBはビジネス・エンジェル・ファンド(BAF)スキームの下、エンジェルによりスタートアップ企業に投じられた資金と同額を出資する。
シンガポールにはビジネス・エンジェルを買って出る少なからぬ個人投資家が存在し、NSTBはこうした資金を有効に活用する方策を用意する。
米国シリコンバレーの例からも明らかなように、アイデアと地球規模の市場そして才能と資金が成功の鍵になる。しかしながらシンガポールのベンチャーキャピタリストはこれまでこの種の初期段階の事業やハイテクベンチャーへの資金提供をほとんど行って来なかった。NSTBは今後こうしたベンチャーへの出資をベンチャーキャピタリストに働きかけて行く。
タン氏は、もし一介の大学生がその保持するユニークなアイデアの故に突然、500万Sドルの資金を得、自身の会社の最高経営者(CEO)になることができるなら、テクノプラナーを目指す有意の青年が続々輩出する雪だるま式効果を発揮するだろうと抱負を語った。
NSTBは、テクノプラナーシップ・ドライブの3本の柱として、上記に指摘された金融/投資の他、教育とBuona Vistaサイエンス・ハブの構築に照準を合わせていくと言う。
ちなみにテクノプラナーシップ21閣僚委員会の議長を務めるトニー・タン副首相は、“テクノプラナーシップ・インベストメント・ファンド(TIF)”の創設に当たり、「仮に10億米ドルが18~24カ月の間にテクノプラナーらの利用に供されるなら、上場の首尾」とするとともに、「テクンプラナー育成計画が成功する保証はないが、もし実行しなければ、シンガポールは競争に勝ち抜くことはできない」と指摘している。(ST:6/5)
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