1999-06-01 ArtNo.19302
◆<星>製造業の復調年内は持続:資材調達責任者指数
【シンガポール】シンガポール製造業の最近の力強い復調は今年一杯持続する見通しだ。これは製造業況のバロメーターとされる資材調達責任者指数(PMI)が5月も過去1年来の最高をマークしたため。
シンガポール調達資材管理研究所(SIPMM)が集計したPMIは4月に62.4をマークした後、5月にも4.1ポイント・アップした。シンガポールの製造業12業種の100社以上の資材調達管理者に対するアンケート結果に基づき毎月集計されるPMIは、新規受注、生産高、在庫、価格、雇用、納期等の9種類の指標を含み、PMIが50を超えるなら経済の拡張を、50を割り込めば縮小を示す。このため欧米では、製造業の健康度を最も早期に判断できるバロメーターと見なされている。
経済開発局(EDB)が先週金曜発表した統計では製造業は4月に4.8%の成長を遂げた。これによりシンガポール製造業は7カ月連続マイナス成長を記録した後、5カ月連続プラス成長を回復したことになる。
SIPMによれば、PMIの改善は製造業の拡張がより幅広い範囲に及んでいることを示している。新規受注の拡大を享受しているのは、電子部門に限らない。他の部門、特に輸出志向部門にこうした傾向が見られ、域内経済の復調を裏付けている。
5月には新規受注と輸出注文指数が急上昇し、過去1年来の最高を記録した。原料輸入指数も大幅な上昇を見たが、生産指数はそれほど急上昇していない。SIPMMのフィリップ・ポー重役(CEO)は、生産の伸びの鈍さは原材料サプライヤーの納期の遅れが原因になっているものと見られ、生産指数の伸びが来月も新規受注指数の伸びを大幅に下回るかどうかが、注目されると指摘した。
5月のは原料サプライ指数は41.7と、前月の50以上から9.6ポイント・ダウンした。この結果、生産者は原料在庫が底をつき、在庫指数も過去1年来の最低を記録した。SIPMMのAlick Chia会長によると、こうした状況が持続すれば、サプライ・チェーンに混乱を来たし、需要の歪みを生じさせる。完成品在庫指数はここ数ヶ月横這い状態にあり、一部の企業は在庫を一掃、他の企業は将来の需要増を見越して在庫を拡大し始めている。
受注の拡大に関わらず企業は、雇用には慎重な姿勢を保っている。5月の雇用指数は僅かに上昇したに過ぎない。いずれにしても同指数は50を超えており、雇用は拡大基調にある。また今年の生産性は向上する見通しだ。(BT:5/31)
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