1999-05-26 ArtNo.19243
◆<星>企業、依然過半数がインターネットに無関心?
【シンガポール】シンガポールの少なからぬ企業は依然としてインターネットにさしたる関心を抱いておらず、シンガポールがナリッジ・ベースの経済に変身を遂げるにはなおかなりの道のりを要しそうだ。
地元の情報技術(IT)調査会社テクノナリッジ・アジアが今年1月に地元企業367社を対象に調査したところ、独自のウェブ・サイトを設けることを全く計画してい企業が全体の3分の1を占め、イントラネット(インターネット・ベースの社内ネットワーク)の装備を計画していない企業は約半数にのぼった。またエクストラネット(インターネット・ベースの社内と社外を結ぶ専用ネットワーク)を有する企業は僅か3.9%、全国広帯域ネットワーク“シンガポールワン”を利用している企業は6.3%にとどまった。
テクノナリッジ・アジアのラメシュ・ラマチャンドラ重役(MD)によると、シンガポールには一時、ウェブ・サイトを設けるブームが生じたが、少なからぬ企業がウェブ・サイトにさしたるメリットを見出すことが出来ず、ブームは徐々に冷却した。調査結果が示すところによれば、企業がウェブ・サイトを持つことを阻害する要因としては、資金難、ビジネス戦略の不在、専門家の不足が指摘されている。
シンガポールは初期のインターネット・ブームから覚め、実際にインターネットを応用する時期を迎えているが、この段階では、実質的価値や目に見える効果が要求される。最も多く指摘されたインターネットのメリットはビジネスの処理が迅速化され、より多くのサプライヤーや製品にアクセスできること。しかし地元のウェブ・サイトの中で最も有用なサイトはどれかとの質問に、69.1%のものが1つも名を挙げることができなかった。同調査では中央積立基金(CPF)のオンライン・サイトが得票率6.1%でトップ、内国税局(IRAS)のサイトが3.9%で2位と、政府サイトが上位を占めた。
目下、話題の中心となっているEコマースに関しては、既に採用している企業が全体の5%を占め、別に17.6%の企業が向こう24カ月以内に採用する意向を表明している。同数字は向こう2年間にEコマースを採用する企業の比率を20%に高めることを目指す国家コンピューター局(NCB)の目標にほぼ一致している。
一方、自らをIT戦略を備えた先端技術企業と位置づける企業は全体の23%にとどまり、先端技術の吸収に努める技術志向企業を自負する企業が47%、技術無関心を表明した企業が14%を占めた。この点からも過半数の企業が、運転席に座ることを望んでおらず、ナリッジ・ベースのエコノミーを志向するシンガポールにとっては懸念材料と言う。(BT:5/24)
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