SEAnews 1999-05-25 ArtNo.19232

【シンガポール】ヒューレット・パッカード(HP)のシンガポールにおける製造事業売上は上半期に前年同期比4.5％増の31億米ドルを記録したものの、引き続きコスト・プレッシャーを受けており、組織再編努力が続けられている。
ＨＰシンガポールのチア・キアンフアット重役(MD)が19日語ったところによれば、アジア経済は回復基調に有り、ＨＰ社は好調な業績を実現したものの、周辺諸国の通貨の競争力が増し、コストも下降したことから、シンガポールにおける営業は守勢に立たされている。ＨＰ社はシンガポールにおける製造業務を大幅に縮小する計画はないが、状況を慎重に見守っている。
昨年同社が導入した劇的なコスト管理やシンガポール政府のコスト削減策の恩恵が今四半期には享受できそうだが、シンガポールの労働コストは例えば中国やインドに比べそれほど大幅に下降していない。
ＨＰ社をコンピューター会社と検査／測定機器会社に分割する計画はシンガポールの業務に大きな影響を及ぼすが、大幅な人員削減は行われない。当初の段階では人事やロジスティクス面のスタッフ需要が却って増える可能性があるが、一定期間を経た後、需要は縮小するものと見られる。目下シンガポールに勤務する9000人の内、2700人は検査／測定機器部門に就業することになる。
昨年下半期に下降した国際受注は、4月期上半期には5.5％増の140億米ドルに達した。同社は過去2年ほど業績の下降を見たが、今年は下半期も成長基調の持続が見込まれる。
ＨＰ社は昨年、5年内に研究開発(R&D)に3億Ｓドルを投資すると発表したが、今年上半期にはＲ＆Ｄに2990万Ｓドル、人員訓練とドネーションに570万Ｓドルが投じられた。政治的／経済的先行き不透明に関わらず、アジア売上は拡大し続ける見通しという。(BT,LZ:5/20)