SEAnews 1999-05-25 ArtNo.19228

【シンガポール】マーケット・プレーヤーらがひたすら回避を望んでいるにも関わらず、ディスク・ドライブ(HDD)業界の熾烈な価格競争が再燃しそうな雲行きだ。
業界最大手のシーゲートは、値下がりに抗してより大きなシェアを占めるべく、Ｕ4と称するローエンド・デスクトップ・ドライブの大量生産を開始したが、クアンタムやマクスター等のプレーヤーもほぼ同様な戦略を採用、これに対抗する構えだ(別項参照)。
シーゲートのチャールズ・ポール重役(CEO)は先月のテレフォン・コンファランスの席上、次期四半期も値下がりが鈍化するとは思わないと警報を鳴らした。
アナリストは値下がりが予想される理由として供給の拡大と消費者のコンピューター買い控えを指摘する。世界市場の40％を占めるシンガポールのディスク・ドライブ生産は第1四半期に前期比5～8％拡大したもようだが、第2四半期には一層大幅な伸びが予想されている。貿易開発局(TDB)のデータによれば、1998年のシンガポールにおける4半期ベースの出荷台数の伸びは、第1四半期の－5.1％と第4四半期の＋1.9％の間を振幅している。米国の市場調査会社トレンドフォーカスのアナリストは、「あるいは今年は市況の変曲点になり、ふるい落とされるプレーヤーも出るかも知れない」と指摘する。
昨年第2四半期にはディスク・ドライブ・メーカーは請負業者に15～20％の値下げを要求、シンガポール拠点の契約製造業者らは悲鳴を上げたが、これは正に大惨事と形容っできる。
しかし供給過剰は、今年深刻な値下がりが懸念される唯一の理由ではない。クアンタムのマーケッティング・ディレクター、David Rawcliffe氏は、「消費者はインテル・チップの値下がりを予想し、コンピューターの買い控えを行っている」と指摘、「今やディスク・ドライブ・メーカーは、昨年の惨事を繰り返すことのないよう在庫管理を厳重に実行すべき時だ」と訴えた。
米国の市場調査会社データクエストのアナリストは、「ＵＳ＄1000パーソナル・コンピューターが益々、支配的潮流になる中で、ディスク・ドライブの値下がりは一層加速する可能性がある」と指摘、「最新のLexusをTercelの価格で売る悪習が業界に蔓延りつつある」と警鐘した。(ST:5/23)