1999-05-06 ArtNo.19030
◆<星>国内経済の先行きは、外的要因に依存:MAS
【シンガポール】シンガポール政府は今年通年の国内総生産(GDP)予想成長率を0-2%に上方修正したが、実際の経済動向は国外の状況に大きく依存しており、国際電子産業やアジア経済の復調の如何にかかっている。
シンガポール金融管理局(MAS)の四半期報告書によれば、東アジア諸国の大部分の政府は、自国経済が昨年のマイナス成長から今年はプラス成長を回復できるものと見込んでおり、8年間成長し続けてきた米国経済が過熱するリスクもそれほど大きくない。米国経済の好調は、労働市場の伸縮性、技術的優位、消費支出の急速な拡大と言った強力な経済基盤に負うところが大きいが、労働市場のクランチが生じる可能性を過小評価することはできない。
一方、国際電子産業の先行きは依然として不透明である。シンガポールの電子産業は第1四半期に14%の成長を見た。また半導体生産は今年下半期に予想される国際的半導体市況の回復や、ルーサント/マイクロン両社の設備拡張により支えられる見通しだ。在庫水準は昨年5月以来持続的に下降しているが、出荷動向はそれほど明らかでない。DRAMチップ価格は、韓国メーカーの生産拡大で、最近再び軟化している。
非電子部門の成長は、域内市場の需要が引き続き低迷していることから抑制されるものと見られる。国内石油化学産業の生産は新工場の操業開始で拡大するものと見られるが、石油精製/石油化学業界は何れも低調なアジア需要の打撃を受けている。
域内経済危機に伴う航空機の保守や船舶修理の需要鈍化から、運輸機器部門の生産も下降が見込まれる。過剰供給から石油リグの建造活動も鈍化する見通しだ。建設部門も再び公共部門の需要に大きく依存する状況が生じており、低調に推移する見通しだ。
消費者物価は横這いで、インフレ率は上半期中はマイナス成長基調が持続するが、下半期には予想される経済の回復でプラスに転じるものと見られる。諸外国のインフレ再燃と一次産品価格の軟化で、輸入インフレは引き続き抑制されると言う。(BT:5/4)
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