SEAnews 1999-04-12 ArtNo.18758

【シンガポール】トニー・タン副首相は8日、テクノプラナーの育成／誘致を目指す“テクノプラナーシップ21コンセプト・プラン”を発表するとともに、10億米ドルの“テクノプラナーシップ・インベストメント・ファンド(TIF)”の創設を宣言した。
この日、ジョージ・ヨー情報芸術相、クリエイティブ・テクノロジーのシム・ウォンフー会長等と共同記者会見したテクノプラナーシップ21閣僚委員会の議長を務めるトニー・タン副首相兼国防相によると、コンセプト・プランは金融／教育／施設／規則をカバーする4施策から成り、ＴＩＦの創設は金融施策の中心を成している。他の3つの施策は、1）敢えてリスクを犯し、失敗も学習プロセスの1つとして許容する進取の気性を培う教育の確立、2）50億ＳドルのBuona Vista Science Hubに象徴される施設の整備、3）法律・規則の改正。
国家科学技術局(NSTB)がコンセプトの推進機関を務め、ＮＳＴＢのテオ・ミンキアン会長が、イニシアチブの調整／実行機関としてのＴ21最高執行委員会の議長を引き受ける。
一方、クリエイティブ・テクノロジーのシム・ウォンフー会長が座長を務め、劇作家Kuo Pao Kun氏や建築士Tay Kheng Soon氏等が参加するテクノプラナーシップ21委員会の民間部門チームは、既存の規則に見直しを加え、テクノプラナーシップを培うための提言を行う。今年第3四半期にも最初の報告書が提出される。
タン副首相によると、ＴＩＦは民間パートナーと共同で、それぞれ特定領域に投資する複数のベンチャー・ファンドを設け、民間基金として、各方面の事業に出資する。
ＴＩＦはこうした活動を通じて地元ベンチャー・ファンドの事業拡張を支援するとともに、海外のベンチャー・キャピタルをシンガポールに誘致する。このため控えめに見ても10億～20億米ドルの民間資金がテクノプラナー・プロジェクトに注入されることになり、ＴＩＦ資金はスタートアップ企業に恩恵を及ぼす乗数効果を発揮する見通しだ。
ＴＩＦの運用は、政府投資会社ＧＳＩＣの傘下に設立される企業により監督される。新会社の会長はタン副首相が、社長は金融管理局(MAS)のテー・コクペン副局長（DMD)が、それぞれ務める。
タン氏は、「仮に10億米ドルが18～24カ月の間にテクノプラナーらの利用に供されるなら、上場の首尾」と述べるとともに、「テクンプラナー育成4施策が成功する保証はないが、もし実行しなければ、シンガポールは競争に勝ち抜くことはできないだろう」と覚悟のほどを表明した。
某地元ベンチャー・キャピタリストは政府のイニシアチブに歓迎の意を表明する一方、「シンガポールにおけるベンチャー・キャピタル事業の最大の問題は、資金の有無ではなく、投資に値するプロジェクトが存在しないこと」、「仮にＴＩＦが海外とのリンケージをもたらすなら歓迎できる。ことハイテクに関してはシリコン・バリーから一歩も離れることはできない」と付言した。
トニー・タン副首相は来週にも米国に赴き、シリコン・バリーを初め、複数のテクノプラナー・センターやビジネス・インキューベイション・センターを訪れる予定だ。(BT,ST,LZ:4/9)