1999-04-09 ArtNo.18741
◆<星>経済成長率、今年-0.5%、来年-1%:Beri
【シンガポール】米国拠点のコンサルタント会社、Business Environment Risk Intelligence(Beri)は7日、シンガポール経済が今年は0.5%、来年は1%、それぞれマイナス成長を遂げるとの悲観的見通しを発表した。
Beriは国際通貨基金(IMF)や世界銀行のデータとともに、銀行家/ビジネスマン/官公庁幹部ら約100人から成るパネルのアンケート結果を基に、毎年3回国際経済見通しを発表している。それによると、欧州と北米の経済が今年下半期には下降に転じるため、シンガポールのアジア経済危機からの回復も2001年まで望めない。
最近、楽観的傾向を強めているシンガポール政府の見通しとは対照的に、Beriの今回の成長予測は、ゼロ成長を予想した前回の報告書の内容より、一層悲観的なものになっている。リー・シエンロン副首相は、先頃、アジア経済は最悪の時期は乗り越えたとし、シンガポール経済も全てが順調なら1%以上の成長が期待できると語っていた。
Beriはまたシンガポールの往復貿易は昨年7.5%縮小、1975年以来最悪のパフォーマンスを示したが、今年は欧州と米国市場の退潮から5~7%の一層の落ち込みが予想されるとしている。
国内銀行の不良貸付(NPL)の総貸付に対する比率は、今年は2倍に拡大、加えて賃金カットで消費者需要が低下するため、住宅市場の回復が阻害される。
米国経済の成長率は昨年の3.9%から今年は1.8%に鈍化、来年は0.5%のマイナス成長が見込まれる。こうした悲観的見通しの理由としてBeriは以下の諸点を指摘している。1)消費者の負債レベルに対する懸念の高まり、2)生産力格差の拡大、3)法人投資と収益の減退、4)米国株式市場の調整。
欧州最大の貿易相手国ドイツの経済成長率も昨年の2.1%から今年は1.8%、来年はさらに1%に鈍化が見込まれている。
隣国マレーシアとインドネシアの政治的不安定も警戒すべき材料で、マレーシアのマハティール首相は、これまでとは異質な政治勢力の挑戦を受けている。マレーシアの総選挙は、今年か来年行われるが、いずれにしても社会経済状況が一層悪化する以前に実施される見通しだ。
インドネシアに関しては、極度に不安定な政治動向と政府の優柔不断が、対外債務や銀行危機に対する対策を遅らせ、経済全体の回復も停頓させていると言う。(ST:4/8)
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