1999-03-11 ArtNo.18455
◆<星>サリム、UICの23%権益を香港企業に売却
【シンガポール】スハルト大統領の退陣以前にはインドネシア最大のビジネス・グループと目されていたサリム・グループは9日、傘下のKMPユナイテッド・ベンチャーズを通じて当地上場企業ユナイテッド・インダストリーズ・コーポレーション(UIC)の23%の持分を香港企業、HKRインターナショナルに3億1087万Sドル、したがって1株当たり1Sドルで売却する契約を結んだ。
同取引価格は、この日のUICの終値0.725Sドルを38%上回っている。サリム・グループは1990年にやはりインドネシア系ビジネスマン、ウィ・ホンリョン氏(シナル・マス・グループ総帥エカ・チプタ氏の子息/シンガポール公民権取得)からUIC権益を3億8000万Sドルで買収したが、1994年の株主割当も加えると買収コストは4億Sドル以上にのぼる。
中国方面に強いコネを有するとされる香港のチャー一族に率いられる中規模不動産会社KMPは、ペイソン・チャー氏(創業者の子息)とサリム・グループのアンソニー・サリム氏(林紹良氏子息)の友誼に基づいて買収したとされるが、同取引が完了すれば、チャー一族とユナイテッド・オーバーシーズ・バンク(UOB)グループのウィー・チョーヤオ会長のUIC権益争奪戦が勃発するものと見られる。UOBグループは1992年にサリム・グループから16%のシェアをオファーされて以来、UICの日常業務を取り仕切ってきた。仮に買収戦が展開されれば、1株1Sドルの取引価格から見てKMPは別に10億Sドルの資金を必用とする見通しで、アナリストらはKMPのような中規模企業にとってはリスクが大きいと見ている。このためKMPはその際には別のパートナーを引き入れるものと見られる。
UICはシンガポールの中央ビジネス街に少なからぬ一等オフィス・ビルを所有、UOBグループと共同で、シンガポール証取やシンガポール国際金融取引所が入居することになるシンガポール・エクスチェーンジの開発も手がけている。(ST,BT,LZ:3/10)
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