1999-02-25 ArtNo.18311
◆<馬>銀行再編、M$600億では不足:Moody
【クアラルンプル】マレーシア銀行業の再建には、政府が見積もった600億Mドルの資金を注入するだけでは足りず、貸付拡大政策は事態を益々悪化させる。
米国拠点の信用格付け会社Moody's Investors Serviceが23日発表した“マレーシアの銀行システム;座礁?”と題する報告書によると、マレーシアの銀行システム中の5000億Mドルの預金残高のかなりの部分が不良貸付(NPL)と見られ、政府が算定した新資金の注入では、焼け石に水である。ダナハルタが銀行界のNPLを買い取る資金も150億Mドルでは足りない。また中央銀行が8%の貸付成長目標に固執すれば、事態はさらに悪化する。
マレーシア政府が昨年9月に導入した通貨管制の結果、銀行界の再編に必要な外資の導入も捗っておらず、事態は一層深刻化せざるを得ないと言う。ちなみに同報告書はマレーシアが最近導入した資本逃避税と通貨管制の緩和措置には触れていない。
以上の報告書は、ゴールドマン・サックス及びSGセキュリティーが去る1月に発表したレポートとは対照的に、悲観的内容となっているが、KAF-Seagroatt & Campbell SecuritiesのKL駐在アナリストは、報告書の内容に新鮮なものはなく、Moodyの従来の説を焼き直したものに過ぎないと指摘した。それによると不景気で貸付の機会は限られているにしろ銀行が新たな収入を得るには新規貸付を行う他ないと言う。別の筋は、「ダナハルタはNPL買い上げに際して帳簿額の50%近いディスカウントを求めており、また全てのNPLを買い取る訳ではなく、NPLの一部分を購入し、銀行がその他の部分を処理するゆとりを与えるだけでよい」と指摘した。(BT:2/24)
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